第9話 気づき
ここ最近、疑問に思っていることがある。それは
ジークはなぜ乙女ゲーム「
ということである。今まで見てきた限り、ジークは
・貴族
・騎士団長の息子
・ヒロインと同じ極光傾向
・高い魔力
・魔術学院入試一般首席
・人たらし etc...
など、まさしく乙女ゲームの攻略対象者に相応しいコンテンツ力とスペックの持ち主である。にも関わらずなぜ彼は攻略対象者では無かったのか。
ちなみに「魔法学園所属じゃないから」は理由にならない。なぜなら対象者のうちの一人、第二王子はこの魔術学院に通っているからだ。実際私は遠巻きだが彼を学内で目撃したことがある。
それと「まだ実装されていなくて、今後対象者になる予定だったのではないか」という可能性もあるがそれも少し考えづらい。なぜなら「Amour Tale」の攻略対象者は私がやっていた時点で12人にものぼっていた。こんなに増やしておいて騎士団長の息子を入れないのは少々不自然だ。
攻略対象者になるための「何か」が足りなかったのだろうか。それとも…
――ザザッッ!!ジーーっ!!――
…士団長「…に……ー……いう…6…の…子が…………す…、裏………人………われ…、……月…に…な……まし…」ザザッ
ジー
カ…「……な…」ザザッ
――ジーー!ザザッ!!――
「…ナ?カナ!」
「っ……!!!!」
「ねえ大丈夫?寝不足??」
「顔色が悪いわ!」
「い、いや、なんでもない、大丈夫だよ……」
今のは、なんだ。強烈な雑音と共に見えたのは「Amour Tale」のゲーム画面か。「ねえ?」一部分しか見えなかったが、発言者は「ほんとに平気?」ジークの父親である騎士団長……とヒロインか?「ねえってば!」しかしこれでは断片的すぎてなんと言っていたのか分からな…
「カナ、体調悪いならちゃんと言って?無理は絶対しないで!」
ハッと前を見るとジークは眉間に皺を寄せ、私の両肩に手を乗せてわたしに鋭い目線を向けていた。珍しくジークが少し怒っている。いや初めてかもしれない。
「……ごめん。でもちょっと考えごとしてただけでなんでもないよ、心配しないで」
「謝ることなんてないよ。でも何かあったらちゃんと言うんだよ?僕たち友達なんだから」
「そうよ、なんでもなくても言って欲しいわ!」
「友達……だから……そうだよね、ありがとう」
彼らが心配してくれることに感謝すると共に申し訳なさを感じる。先程の雑音については、現状考えられそうなことは無い。また思い出すのを待つしかないだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます