第46話 VSネビア

「ネビア、遅くなってすまない!」


 そう言いながら集合場所へと戻った。


「僕たちもさっき来たとこです。おお、それが籠手ですね」


 ネビアは左腕に付けた籠手をまじまじと見た。


「おお、結構かっこいいですね! ちょっと魔法実際に撃って試してみます?」

「それ! やって欲しかったんだ。でも危なくねーか……?」


 そういうとネビアは丁度いい場所があると言い、俺を引っ張った。


「ここです。ゼブと使った結界コートのお店らしいですよ」


 着いたのは光の結界が張られたエリアが6箇所設置された場所だ。

 結界コートはゼブとの試験で以前使った、死んでも時間が少し戻るという凄い性能もつエリアだ。


 1時間もしくは結界効果が切れるまで濃い黄色2個払えば使用させてくれるそうだ。

 テニスコートを借りるような感覚で、決闘ができる場所を借りれるわけだ。凄いな……。


「すいません、2名でお願いします」

「濃い黄色2個ね。1時間経過か効果が切れたら係の者がすぐに行きますので。また、入ってから最初の30秒はかならずその場で止まって下さい」


 店員さんの注意をしっかりと聞きつつ、結界の中に入り30秒待った。

 すると結界の中が一度真っ白に輝いた。


「30秒経ちました。どうぞ」


 と言う係の方に会釈をしてから、俺とネビアは対面で立った。


「まずは、[ウインドスピア]撃ってみますね!」

「よしこい!」


 そして早速ネビアに[ウインドスピア]を放ってもらった。


 真っ直ぐに飛んでくる[ウインドスピア]に対して籠手を構え、闘気を溜めた。

 すると、籠手に命中したウインドスピアは形を崩し、完全に無力化された。衝撃も殆ど無しだ。


「おお、すごいですね……」

「衝撃も殆ど無い。風属性泣かせの防具だな……」


 そういえば、こんな風にネビアと対峙する形になるのは何か新鮮だな。大体、横に居て共闘だもんな。

 そもそも、めちゃくちゃ強いもんな。今まで出会った中で一番強いのはネビアだろう……。


「フィアン」

「ネビア!」


 ほぼ同時に声が出た。概ね考えている事は一緒だろう。戦ってみたいと! 


「やっぱネビアも俺だな。考える事は一緒だ」

「それはこっちの台詞でもありますよ。フィアン」


 結界の中には線が引いており、お互いそこまで下がった。


「んじゃー。このナイフを投げるから、地面に落ちたらスタートな!」

「分かりました」


 俺は剣を構え、ナイフを真上に投げた。今までの戦いの中で一番高揚している。楽しみだ……! 


――ザクッ


 ナイフが刺さると同時に俺は[閃光脚]で速攻で前に出た。


「甘いですよ!」


 だが、それは読まれており、すぐに[アースウォール]を展開されてしまった。

 そして、そのまま立て続けにアースウォールの上から3本の[アイススピア]が放たれた。


「やっぱ早いな……!」


 [アイススピア]に気を取られたその瞬間、俺の足元には既に[アイススパイク]の魔法陣が描かれていた――


――バリィン!!


 大きな音と共に[アイススパイク]が地面から飛び出す。

 俺は辛うじて上空へ回避し、そのまま3本の[アイススピア]を薙ぎ払った。


「俺の番だ」


 そのままアースウォールのてっぺんに着地し、ネビアに向かって[エアソード・エクスプロージョン]を放った。

 そして、ネビアの所で大爆発したように見えた。


「やったか!?」

「まだですよフィアン!」


 ネビアは直撃寸前の所で新たに[アイスウォール]を展開し爆風を防いでいた。


「だよな!!」


 俺は既に[ブレードブラスト]を展開し、ネビアに追撃する準備は整っていた。

 だが、それを察知したネビアは俺が乗っている[アースウォール]を解除し、砂に戻した。

 その結果、俺は態勢を崩し[ブレードブレスト]を撃ち損ねた。


 そして、ネビアはすでに次の魔法陣を描いていた。


「くっ……!」


 俺は砂になった壁に辛うじて[ソード・エクスプロージョン]を放った。

 そして、その爆風で後退し魔法の回避に成功した。


・・・

・・


「いいぞ赤髪! やっちまえ!」

「青髪! そのまま畳みかけろ!」


 戦っていると、気が付かない内に大勢の人が俺達のコートを観戦しながら盛り上がっていた。

 だが、そんな事は一切気にならない。

 死の恐怖が無いのも大きいと思うが、ここまで楽しい戦闘がかつてあっただろうか。

 心が躍る……高揚感がある!

 

「ネビア! 全力でやろうぜ!」

「ええ!」


 そうして、それぞれルーネとテーネを呼び寄せた。


「光纏!」

「闇纏!」


 俺とネビアの全身が光始め、闘気と魔力が爆発的に増えた。


 その瞬間……


――パチン!!


 と音を立て、結界コートが壊れてしまった。


・・・

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