一行怪談まとめ2

ゆきまる書房

第1話 一行怪談

「おめでとうございます、あなたは1563人目の転生者です」という声と共に目が覚めたが、一日過ごしてみたもののいつもと何も変わらず、腕を組み頬を掻き頭を抱えたものの、「まあ、いいか」と考えるのを止めて四本の腕を下ろした。


 夫を殺した翌朝、「おはよう」と私に笑いかける見知らぬ男を見て、これが今日の私の配偶者かと殺しのプランを頭の中で組み立てながら、「おはよう」と笑顔を返す。


 妻の目に映る私の顔は今日も、かつて山に埋めた妻の不倫相手の顔。


 娘が義父からもらったという熊のぬいぐるみが最近臭ってきたため中を確かめると、潰れた蛙がぎっしりと中に詰まっていた。


「早く帰ろうぜ」と笑う友人の頭から蜘蛛の糸のようなものが空へと伸びていることに気づいた、深夜二時の廃墟の外。


 街灯から垂れている首吊り死体は私を見下ろして時折何か口を動かしているものの、その口の動きがどんな言葉を表しているかがわかった時には手遅れだった。


 季節外れの生首が降ったということは、世界の終焉に一歩近づいたということです。


 一人暮らしの家の深夜、トイレのノック音で目が覚めた私は、今日が彼氏を海に沈めた日であることを思い出すも、何人目の彼氏のことかは思い出せず、それよりも明日の会議に備えるために早々に眠ることにした。


 事故で亡くなった先輩のロッカーから、先輩の母親の金切り声がひっきりなしに聞こえるので、先輩の死因は本当に事故だったのかが部活内で疑問視されている。


 鏡に映る私の顔には、今日も「私はあなたの秘密を知っている」という文字が浮かんでいる。

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