母への電話

実は、母とのコミュニケーションが一番むずかしいって思う


たぶんと言うかぜったい

妻をのぞいては

僕をいちばん理解してくれるひと

そして、いちばん長く僕を愛し続け

いちばん僕のせいで他人と争ってきた


その分

期待だとか思いとかも色々あったろうに

そういうもの、すっかり粉々こなごなにしてしまった


着飾っても偽っても

すべてお見通しの相手だから


そのままを言う。


そのまま言って、そのままで返ってくる


お互いが裸の状態


言葉の刃がじかにお互いの肉を切り裂いて


最後はなにごとも無かったように、電話を切る


(2019.6.1 『何となくの日々達へ』より)

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