第7話
黎慈は、この街の真相と謎の少女達の真相を知るために、提案を受けることを決めた。
「ああ、この街に来てから色々不思議な体験をしてるんだ。それを確かめたい」
「分かった。少し長くなるから、そこの椅子に座ってくれ」
黎慈は、黒板の近くにあった鉄パイプ製の椅子を持ってきて座った。
座ると、早速男子生徒が話し始めた。
「この街の 夢 は、他の人間が体験できる夢じゃないんだ」
黎慈が疑問に思っていると、男子生徒がさらに話し始めた。
「どうやら、夢が現実世界で具現化。所謂、正夢が起こると、その正夢を見た人が数時間後に死ぬ、と言った現象なんだ」
「その現象で、俺の友人は死んだ。」
「俺も詳しいことは分からないんだが、だからこそ一緒に調べてほしい。地元の奴らだと死ぬ可能性があるって言って誰も調べてくれないんだ。頼む、俺の亡き友人のためにも、力を貸してほしいんだ」
どうやらあの少女が言っていたことは本当のことであるようだ。
黎慈は後に引けなくなり、自分に課された使命を感じ、覚悟を決めた。
「お前から話を聞いたんだ。もう後には引けないさ。この街の真相、突き止めてやる」
黎慈がそう言うと、男子生徒はそっと胸を撫で下ろした。
「そういえば、名前を聞いてなかったな。俺は枝先黎慈。お前は?」
「高杉景佑だ。これからよろしくな」
2人は自己紹介を済ませると、硬い握手を交わした。
黎慈は、まだ疑問に思っていることがあり、景佑に聞いた。
「ただ、原因を特定するなんて、どうやってやるんだ?夢の中に入って原因を探るくらいしか方法がない気がするが、、、」
「お前、鋭いな。すでに方法はあるぞ。まず、今黎慈が言った通り、夢の中に入ることだ。この街の夢は共通夢も存在するらしい。そしてその中に入るには、アイマスクをつけて寝る、とゆう事なのが俺の調べで判明した。はい、これ」
景佑はそう言うと、黎慈にカバンから取り出したアイマスクをあげた。
黎慈は笑いながら受け取ると、微笑しながら話し始めた。
「本当かそれ?笑 まあ、できることもないし、今日やってみるか」
「ああ、頼む。今日の深夜、また夢の中で落ち合おう。じゃあ、また」
景佑はそう言うと、空き教室を出て行った。
黎慈も同様に、教室を出て、帰路についた。
黎慈が学生寮に着いたのは昼前だった、夜まで特にすることがなかった黎慈は、亮をご飯に誘おうと思い、部屋に向かった。
コンコン、とノックし部屋に入るとそこに亮の姿はなく、黎慈は仕方がなく、1人で昼ごはんを食べに行くことにした。
黎慈が向かったのは、近くにあったチェーン店『SOY ZERIA』に向かった。
そこに着くと、入り口の近くに『バイト募集中』の張り紙が貼ってあった。
黎慈がその張り紙を少し見つめていると、中から若い女性店員が出てきた。
「キミ、もしかしてバイトに興味ある?ここら辺じゃ見ない顔だけど、もしかして引っ越してきたとか?」
「いや、見てただけです」
黎慈はそう言うと、店内に入り1人用の席に座った。
ここは豆料理が有名で、黎慈は大豆ハンバーグを頼もうと店員を呼んだ。
ベルを鳴らすと、さっきの女性店員が来た。
「ねえ、さっきのバイトの件。どう?」
「少し考えてみます」
黎慈はそう言うと、女性に大豆ハンバーグを頼んだ。
女性店員は、注文をメモすると、厨房に消えていった。
黎慈は、頼んだものが来るまで色々考えることにした。
(夢のこと、少女のこと、どこまでが真実なのかは分からないが、最初の電車で出会った女性。全てが、謎のこの街。やはり俺は誰かに導かれて、、、)
そんな考えが黎慈の頭の中に過ぎると、大豆ハンバーグがやってきた。
大豆とは思えないくらい肉肉しい。
黎慈はそれを平らげて会計をして、学生寮に戻った。
学生寮のロビーでは衣百合がソファーで寝ており、起こさないようにと忍足で自分の部屋に戻った。
時刻は午後3時、まだ時間があると思った黎慈は、少し仮眠をとり、夢の中で会ったあの少女に会おうとした。
スマホでタイマーをセットし、黎慈は眠りにつくことにした。
「あなたとは何か縁があるようだ」
また聞き覚えがある声が聞こえ、黎慈は目を開けると、そこには朝、夢で出会った少女がいた。
「朝の私の質問の意図。分かってもらえましたか?」
黎慈はすでに覚悟を決めており、少女に答えを言った。
「もちろん、覚悟を決めてきた。夢の探究者とやら、受けさせてもらいたい」
「あなたならそう言うと思っていました。では、あなたを夢の世界に入れるように手配いたします。夜までには入れるようになりますので、またお越しください」
「では、私はこれで」
少女はそう言うと、視界が暗転した。
黎慈は気づくと、起きており、スマホのアラームが鳴っていた。
時間は午後6時を過ぎており、ちょうど夜ご飯の時間らしい。
下の階からいい匂いが漂ってくる。
黎慈はロビーへ向かった。
ロビーのキッチンでは、衣百合が三人分の夜飯を作っていた。
衣百合はこちらに気づいておらず、黎慈はキッチンへ行って衣百合の隣に行った。
「何か手伝えること、あります?」
黎慈はそう言って衣百合の顔を覗き込むと、衣百合はびっくりしたようで、『ひゃあ!』と言う声が聞こえた。
「ちょっと、びっくりさせないでよ〜!そうだなあ、、、じゃあそこの鍋見といてくれる?」
黎慈は頷き、鍋を見ることにした。
鍋の中身を見ると、カレーが入っていた。
しばらく鍋を見ていると、衣百合が話しかけてきた。
「いやー、枝先くんは頼りになるよね。亮にも見習って欲しいよ」
「亮はどこに?」
「さあ?どっかに遊びに行ってるんじゃない」
そんな話をしていると、亮が帰ってきた。
「ただいま。黎慈、あの後教室には行けたか?」
「当たり前だ。朝はありがとな、亮」
黎慈が言った言葉を聞く前に、亮はすでに自分の部屋に戻っていた。
数分すると、亮が着替えてロビーの椅子に座った。
衣百合の『よし!』の声と共に、焼いた卵焼きをテーブルに持っていた。
その後、衣百合はキッチンに戻り、大きめの皿を椅子がある場所に人数分持っていた。
並べ終わると、衣百合が黎慈と亮に対して話し始めた。
「今日はカレーだから、自分が食べたい量キッチンから盛ってね」
衣百合がそう言うと、亮が衣百合のことを茶化しながら話し始めた。
「なんか今日の夕食、豪華だね。なんかいいことでもあったの?」
「な、なんもないよ。ただ、枝先くんと初めて一緒に食べる夕食だから、少しくらい豪華にしようかなって」
衣百合は、黎慈の顔をチラ見してから、少し頬を赤くし、空いた皿を持ってキッチンに向かった。
亮は何かを確信したらしく、ニヤリといやらしい顔をしていた。
亮と黎慈の2人も空いた皿を持ってキッチンに向かい、適量盛り付けた。
ロビーに戻り、三人が食卓を囲んでいると、隣に座っていた亮が小声で黎慈に話しかけた。
「黎慈、お前このチャンス大事にしろよ」
黎慈はなんのことを言われているのか分からず、困り顔をしながら亮の方を見ていた。
「お前、今の流れで気づいてないのか?まあいいや、衣百合もかわいそうだな、、」
2人で話していると、向こう側に座っている衣百合が話しかけてきた。
「ちょっと、2人で何話してんの?私もいるんだけど?」
亮は慌てて取り繕い、三人は夕食を食べ終わった。
時間は7時半、衣百合が食器を洗いながら、ロビーの椅子に座っている黎慈に話しかけてきた。
「黎慈くんは、今日の学校はどうだった?」
「まあ、楽しそうな雰囲気でしたよ。一年間、楽しみです」
「なら良かった。私、こう見えても生徒会の人間だからさ。そう思ってもらえて嬉しいよ」
衣百合は笑顔で黎慈を見ており、また衣百合が話しかけてきた。
「黎慈くんはさ、部活動とか入る予定はある?」
「今はないけど、誰かに誘われたら入ろうかなって思ってます」
黎慈がそう言うと、衣百合は提案をしてきた。
「じゃあさ、私と同じ陸上部に入らない?体力作りにもなるし、いいと思うんだよね!」
「前向きに考えておきます。友達がいると心強いし」
「本当に!じゃあ、明日顧問の先生に話しておくから、見学でもいいから見にきてよ!」
2人でそんな話をしていると、シャワーから上がった亮が来た。
亮は2人が話しているのに気がついたらしく、そそくさと自分の部屋に帰っていった。
衣百合は、亮がシャワーから上がったのに気づいており、シャワーを浴びに行った。
黎慈も、衣百合がシャワーから上がるまで、自分の部屋で待つことにした。
数十分後、下の階で扉が開く音がしたので、ロビーに行ってみることにした。
ロビーのソファーにはジェラピケ姿の衣百合がいた。
今ならシャワーを浴びれると思った黎慈は、着替えを持って風呂場に向かった。
数十分でシャワーを浴び終わると、服を着替えて自分の部屋で夢の世界に入る準備を始めた。
アイマスクを準備し、ベッドメイキングを終わらせ、明日の準備も入念した。
色々作業をしたり音楽を聞いていたりすると、時間は深夜23時。
黎慈は夢の世界に入るために、アイマスクをつけて就寝した。
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