2 「再会」



「明堂先輩お久しぶりです。本日から先輩の元で働くことになりました。宜しくお願い致します」



目的の階に着いてエレベーターを降りると、新人が待っていた。


雷門聖奈(らいもんせいな)...社長の娘、聖也の妹。



「わ、髪の毛明るい」



最後に会ったのは何年前だろうか。


その時は黒髪だった。




「あ、はい。にーや...いえ、兄と同じ髪色に染めました」



先程まで緊張していた彼女の表情が和らぐ。


さらさらのストレートヘアー。


水平一直線の前髪の下には、人形のように長い睫毛、親しみやすい雰囲気の垂れ目。


沖縄に何年かいたというのに、肌は真っ白だ。



「彼氏は?」


「えっ...」


「彼氏いるの?」



聖奈は困惑している。


ああ、この顔...懐かしい。



「沖縄から来ただろ? 彼氏は置いてきた?」


「...い、いません」


「知ってる。聖也に聞いた」



俺は肘でつつく。



「今まで彼氏いたことないんだろ? 修道女にでもなる気か?」



俺も人のことは言えないが。


聖奈は口をへの字にして、俺の顔を見上げる。


何か言いたげな表情だ。



「何? 俺のこと好きなの?」


「ちっ、違います!」



聖奈は顔を大きく横に振る。


コロコロと表情を変える聖奈は、やっぱり面白い。


毎日が退屈だと思っていたが、今日から楽しくなりそうだ。

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