涙を玉に

 彼女のことを忘れられなかった ぼくは、

 彼女とともにあることを願った。


 彼女を留めておきたくて、耳朶みみたぶピアスホールを開けた。

 片方にだけ。


 翠玉の欠片かけらで穴を埋める。



 彼女に捧げる ぼくの決意。



 ぼくは あなたを決して忘れない、と。









 左耳で小さく輝く翠の欠片カケラは、

 彼女の涙によく似て 遠慮がちに光るところまで

 とても 美しいと感じた。



 彼女の輝きカケラを身につけた ぼくは、

 幸福感で満たされていた。








 









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