シーズン1-ブライトプライム編
021-人命救助
「............」
数日後。
私はシャワーを浴びていた。
スターゲートを通過したアドアステラは、ハイパースペースに再度突入し、ブライトプライムⅠ.....ブライトプライムの首都惑星に向けて航行を続けていた。
「ふぅ」
汗を流して、風呂上がりにトマト風ジュースを飲む。
炭酸バージョンはどうも流通量が少なく、単価が高いので.....こういう時に呑めるものではなかった。
「残金が不安だなぁ...」
2万MSCしかないので、到着したら即傭兵ギルドで依頼を受けなければならない。
良い依頼があればいいんだけど.....出来れば戦闘依頼がいい。
ブライトエッジ子爵家の召喚期日までが後四日なので、手早く済む方がいいと思うから。
「ごしゅじんさま、遊んで!」
「....うん、今日は何がいい?」
中央のリラクゼーションルームに戻ると、ケインにくっつかれた。
いつもトレーニング後のこのタイミングで、遊んでくれるか聞いて来るのだ。
「キャッチボール!」
「そう....」
キャッチボールは、やってる側はあまり面白くない。
でも、ケインの乗組員教育のためだから。
「....! どうしたファイス!」
『救難信号を受信しました、発進先と思われる空間を21秒後に通過します!』
「通常空間に出ろ! ノルス、ハイパースペース離脱後の再起動操作を任せる!」
『了解!』
『ハッ!』
私はケインを優しく振り解く。
「ごしゅじんさま.....?」
「.....行こう、戦いだ」
「....うん!」
ケインが私を抱える。
そして、駆け出した。
「通常空間に離脱!」
ブリッジに戻ると、既に通常空間にアドアステラは出ていた。
ハイパースペースから
だが、再起動マニュアルをノルスは知っているので問題はない。
「状況を報告」
「御主人、船団が襲撃を受けています」
「敵の数はコルベット8、フリゲート3、伏兵は状況から考えてないと思われます」
指揮官席に座り、戦場を俯瞰する。
破壊された一隻と残りの四隻、合計五隻の船団が襲撃に遭っていた。
『こ、こちらアザクラ商船団! 救援を要請したい、然るべき報酬を約束する!』
「承知した」
私は仮面を被り、機能をオンにする。
これによって、ジャンプ疲弊を軽減したり、戦闘を補佐する機能が使えるようになる。
「アフターバーナー、最大点火。ファイス、私に舵を託せ」
「了解!」
私の操舵で、アドアステラは敵へ近づく。
有効射程内だが、一応警告はしておくか。
私は通信回線を接続する。
『な、何だお前っ!』
「一応聞いておくが、撤退する気はあるか?」
『は、何かと思えば...ただのガキか、お前らこいつを集中攻撃しろ!』
話が早くて助かる。
とはいえ、航行用の装備で、防御力が薄い現状はまずいな...
「ケイン、緑色の1番から4 番を全部出せ! 赤く点滅させたら黄色のボタンを押すんだ!」
「はい、ごしゅじんさま!」
ケインは私の指示に従って、ドローンを展開する。
ブリッツシージ、パラノイア、オルトロス、アイギスの四機を出せるだけ。
危なくなったら戻すだけだ。
「ファイス、速力維持! アリア、ミサイル装填! 弾頭C!」
「はっ、御主人!」
「...は、はい!」
その時初めて、ブリッジに座っていた少女が声を上げる。
おとなしい子なので、目立たないことの方が多いが...それでも、物分かりのいい、優秀な乗組員だ。
「さぁ、ゲームの始まりだ」
私はお兄ちゃんがいつもやっていたように構え、仮面の下で不敵な笑みを浮かべて見せた。
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