虐待を受けていた俺が失っていた青春を取り戻すまで。

@yuuki635

第1話 解放

俺池田彩斗は、両親に大切にされていると思った事が無かった。

いや虐待を受けていたから当たり前か。


虐待が本格的に始まったのは、小学生の時だった。


母親と父親が喧嘩すると、その腹いせに母親が夜に俺を殴ってきた。父親は基本無視。


もちろん、ただ機嫌が悪い母親に殴られることもあった。

酷い時は殴られた痕が消えるまで、学校を休まないといけない程だった。


だか基本的には陰湿で、周りには見えない様な所を殴ってきた。


 


しかもご飯も家では出てこない。


小学校に入学する前までは、コンビニのおにぎりが何個か置いてあったが、それも次第に無くなった。


それが無くなってからは、あまり帰ってこない父親が帰って来た時に置いていく金で何とか飯を食っていた。


これが俺の普通だった。これが俺にとっての当たり前でそういう物だと思っていた。




 


そして小学校高学年になると、父親はあまり家に帰って来なくなり、母親は知らない男を連れ込んでいた。



そして俺は酒に酔ったその知らない男にも殴られて、母親はそれを見て笑っていた。


「ざまぁwwww」


そんな母親の言葉が今でも俺の頭に残っている。

流石に高学年にもなりこれが異常な事だとわかる。

そんな環境だと母親にも父親にも母親が連れ込んだ男にも腹が立つ。

しかし小学生の俺は勝てるわけが無い大人に何も出来なかった。




中学生になっても親の暴力は収まらず。


さらに酷くなっていった。


その影響でプールなどの上半身を見せる授業などは、先生に無理を言って休んだりもした。


そして中学を卒業して家に帰ると1年ぶりくらいに見る父親と珍しく酒に酔って無い母親が居た。


正直鳥肌が立って目の焦点が合わなかった。

呼吸が上手く出来ない。


 




「私たち離婚することになったから、親権はこの人の方にあるから」




俺が動揺していると、母親はそう告げて荷物を持って家を出ていった。


だか離婚、家を出て行く、その事にはあまり俺は動揺しなかった。


というか嬉しかった。


やっと解放されるこの地獄から。


これで父親も出てってくれればそう願っていた。


「で、俺はどうすればいいんだ?」


呼吸が乱れながらも、俺が残った父親に聞くと、父親は目も合わせず言ってきた。


「俺はお前と一緒に暮らすつもりは無い。金は今まで通り毎月振り込むから1人で暮らしてくれ、部屋の場所は後で連絡する、この家は今週中に売り払うからな」


それを告げたら荷物をまとめて父さんも家を出ていった。


2日後引越し業者が来て荷物を運んでいった。


それと同時に俺も家を出ていった。


こんな家糞みたいな思いでしかないので、何の未練もなく家から出ていくことが出来た。


両親が出ていった次の日に、父さんから連絡が来ていた。


そのメールには駅前の住所が書かれていた。


そして書かれていた住所の場所に着くと1LDKと、高校の一人暮しには十分すぎる部屋の広さだった。



 

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