鬼界カルデラ噴火前後の世界の状況
前項では飛騨地方、または長野県の山脈付近に原始国家が成立したのではないかという仮説を書いたが、この項では一旦、世界に目を向けてみる事にする。
私は先述した通り、鬼界カルデラ噴火は古代文明のトリガーになったのではないかとも考えている。鬼界カルデラ噴火は間違いなく火山の冬を生み出したはずで、それは他の地域においても生存や繁殖の危機感に繋がったはずだからである。この頃に何かしらの変化が起きていなくては不自然であると思っているのだが、まだよく分かっていない。
日本では古代文明というと四大文明が有名であり、ここでも代表的な四つの文明が当時どうなっていたのかを見てみたいと思う。ただし、この時代は基本的に文献は残されておらず、学者によって諸説あって、実際どうだったのかという事が素人には分かりづらい。というか、どうせ専門家も分かっていない。ド素人である私もまだこの辺りは勉強を開始したばかりであるため、全然理解できていない。が、とりあえず各地の簡単な状況だけ載せておくと、以下のようである。
7300年前の鬼界カルデラ噴火前後
メソポタミア――ウバイドⅠ期。既に牧畜が導入されていたらしい。
インダス――メヘルガルⅡ期にあたる。牧畜、原始的農耕は既に導入されていたらしい。
エジプト――原始的な農耕、牧畜が開始される頃にあたる
黄河――同じく、原始的な農耕が開始される頃にあたる
メソポタミア、インダスは既に原始的な牧畜、農耕には着手しており、エジプト、黄河は開始される頃にあたるようである。
ここでエジプト、黄河には鬼界カルデラ噴火の影響があったのだとするのは早計であると思う。例のアカホヤ火山灰拡散図では、火山灰の拡大は東北方向に広がっていっている点も考慮すると、北米大陸やユーラシア西側での影響は大きかったかもしれないが、エジプトや黄河地域ではそれほどの影響がなかったのかもしれない。
また、この時代は有史以前であり、まだ全然分かっていないと言っても過言ではない時代である。これより前に農耕があったのかもしれないし、本当に鬼界カルデラの影響があったのかもしれないし、避難した古代縄文人がシュメールだの中国だのに行って文明を立ち上げたのだ、という可能性すら排除する事はできない。
要するに現段階で言える事は何もないのである。
ちなみに日本の原始農耕はどうだったかというと、青森県三内丸山遺跡から、5900年~4200年前に原始的な農耕、栽培の形跡が見つかっており、日本は各地にやや遅れて原始農耕を開始したと見られている。
三内丸山遺跡における農耕跡からは、クリ、クルミ、ヤマグワ、キイチゴ、ヤマブドウのDNAが発見されているとのことである。列島が寒冷化してくるのは、およそ4000年ほど前の事と考えられているため、本格的に寒冷化が始まる前に簡単な農耕、栽培に着手していたようである。
これはごく自然な話で、適当に植えておけば採取できるような品種であれば、温暖で食糧に恵まれた時代であっても、植えておくメリットはある。
前にも書いたが、石器時代とか縄文時代というのは、現代に比べると発見されている技術が少ないというだけであって、その時代の人々が現代人と比べて馬鹿というわけではない。知能の程度はそう変わらない。
というわけで、現状では鬼界カルデラ噴火による影響の痕跡らしきものはまだ見つけられていない。今後の研究待ちということになる。
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