第301話 ボレイリョウ(20)
大きな地響き、突き上げるような轟音。
鈍く光る宝球。
「何があってもこの区画は大丈夫、だよな?イオ」
「よっぽどのことがない限り、大丈夫。だけどさすがに外見に行ったほうがいいだろこれ」
「じゃあ、私が湯あたりの二人を見てるから、ちょっと偵察いってきて」
「わかりました」
温泉宿と決めて整備した銭湯のような温泉から出るとそこは、一面の灰景色だった。
これ、一気に降ったのかな?!初めて見るこれは、火山灰というものだろう。どうしてそのような思考に及んだかというと、眼前の山が大きく火を噴いていたから。
「これが噴火……本で見た……」
「この一帯、人がいなくてよかったな……避難指示も誘導もいらないし」
「ドラゴンの厄災では避難誘導してたなあ。ほかの冒険者が」
「確かにお前はランク規格外だから義務もなんもないしな」
「そゆこと。いよいよのときには手をだすけどね」
これ、完璧に天のせいだろ?そもそもあの球なに。自分が知っている知識にはそこの答えを導くものはなかったし、虹竜たちは何かを知っているようだった。加えて天も多分何かをわかっている。
「これ、何かをして鎮めるべきなのか、ほっとくべきなのか…」
「生体反応的なものは……動物がいる感じだけど、ちゃんと逃げられてるようかな?」
「普通の火山活動の範囲内だけど、しかしこのオイスターという国、これだけ混乱が起きそうなことになってるのに王城が静かすぎて怖いよな」
「シラタマ王の誘拐もあったというのに、あまりにも本当に……不気味の域ですらある」
しかし介入しすぎるべきでもないことはわかっている、面倒ごとに巻き込まれたくはないよな、とりあえず今は。天が火山活動を活性化させたっぽいことだけは間違いなさそうだけど。
「とりあえず、戻るか」
「うん」
◇
番頭台の前あたり、湯あたりで倒れている2人がまあまあ回復し、上体をおこせるようにはなっていた。
「お待たせしました、見てきました」
「やっぱり噴火?」
「そうです、噴火です」
「記録映像でしか見たことがないけど、噴火かあ。で、この銭湯どうしようね」
「魔石もあるし、イオの防護結界も順調に機能しているので放置しておいても焼けも壊れもしないと思いますけど」
「この程度であれば問題ないというか、大規模な天災があってもびくともしないとおもうし、むしろ発見もされないんじゃないかな」
弟とはいえ、こういう魔法に強みがあるってほんとすごいよな。
「この球がね、私に力をください、って言ったんだよね。最初ライムドラゴンからドロップした時にも何かつながりを感じたんだけど、自分のものじゃないし気にしないどこって。なんだけど、ちょっと意識がぼーっとしたときに間違って力を籠めたら地響きが起きたんだ。ごめんなさい……」
天ってなんというか幼さと人の上に立つ者と割り切りのバランスがなんというかすごいな。踏み込んでこないというか。でも、しっかり幼さがあるから今回みたいなことも起きる。いや、0歳児だもんな、仕方ないよな。
しかし、この球ってなんなんだろう。僕やチーズさんがなにかしようとしても何も起きなかったし、鑑定しても何かはわからなかったし。
「天くん、この球ってなんなの?」
「……これってライムドラゴンから落ちたでしょ?ライムリザードからは出ないんだって。ドラゴンと名の付く竜族以外の『何か』は竜族の力の補助となるって情報が頭の中にあるよ?」
そこで何故かテミスがぼおっと起き上がり、続けてきた。
「なるほど、【ライブラリ】に聞いてみたところ、情報は皆無だった。竜族のみの伝聞なんだろう。愉快だな?」
「愉快もなんも天変地異が起きているわけだけど?天、制御できそう?」
「ええと……ダメそう。大地のエネルギーを発散させないと、この国に災いが降りかかりそう。ぼくのもつ吉祥のちからをもってして噴火したって。そんなことあるのかな?」
その言葉を聞いて、この国の外面からみたいびつさの原因につながるのか?と考える。今あそこの王城で何が起きてるか……いやいやいや、考えるな、考えるな。ステイステイ。
「あるからこそ、おきたんじゃないかな?ただ、人的被害は少なそうでよかったけど噴火してちょっと経つけど、この国の人たちってここを探ったりしてるのかな。そういう魔力の波動とかってアオくん、イオくん、わかったりする?」
「そのような力が周りに作用していればわかるようにはなっているのですが、今のところなにも感じないですね」
「俺も、特には」
要するに、国内で大規模な噴火があっても初動の探査もなく放置。
オイスターの国土としてはハギとフジがいる丘、その北側に王城。東側に牡蠣壟、その少し北西に雲一族の集落。王城の城下町以外に4つの大き目の街が点在、というのがチーズさんから得たこの国内の情報。
なぜか流れ着くテミス。王が若くして亡くなり、その幼い子供が王として擁立される。誘拐されかけたシラタマ王、天の親戚への協力者。
国を吉祥へ導くための火山の噴火。
……これ、どう動くのが一番いいんだろう?
いっそ救国の魔法使いに相談しようかそうしよう。うん。師匠に相談する系統じゃあ、ないな。
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リアル多忙につき更新が本当に不定期になっています。申し訳ない。
更新予告はXをご覧ください。割と見通しをつぶやいています。
あとは、カクヨムアプリの更新通知が便利かと思います。
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