第283話 ボレイリョウ(2)

 蒸し牡蠣と焼き牡蠣を準備しながら生ガキを開けて食べる。オイスターナイフは2つしかなかったので、わたしが手本だよ、と言いながら軍手をはいて(方言)まず4人分あけて配る。一発目はやっぱり磯の香りそのままで食べて欲しい。ギリギリレモン?いや、この世界の牡蠣の味はわからないけど一応当たったら困るので全量鑑定は忘れない。箸で食べたいところだけど、どう考えてもこのメンバーが箸を使えるきがしないので、スプーンとフォークを用意してみる。


「ところで、牡蠣たべたことある?」

「オレたちはないよなあ?」

「うん、山間部出身だし。その後色々な所へ行ったけれど、食べてないなあ」

「ぼくもないよ」

「じゃあ、こう、スプーンかフォーク、好きな方ですくって食べてみて。難しかったら両方使ってもいいよ。自由自由。あと、割りばしも置いておいたから、使えそうなら使ってもいいよ。今更だけど苦手じゃないといいなあ。じゃあ、食べよう」


 間髪入れず割りばしを割る。

 

「いただきま~す」

『いただきます!』


 これについては私と兄のせいか、共通してあたりまえに食事の前に言うようになっていた。これはなんだ?教育…?


「……!!!!」

「チーズさん!次!いってもいいですか?!」

「いいよー、みんな食感とか味とか平気だった?」

「むしろ美味しいです」

「もっと食べましょう?僕が貝あけますか?」


 そう言うと同時にもう手袋をはいている。


「その殻開け、一つかしてください」

「はいはーい」


 渡すと同時に生ガキをガンガン開けだす。一気に10個はあけた。開けた先からイオくんと天くんが吸い込んでいるわけだけど。勢いがすごいな~。

 その様子をみつつ、ガスコンロの方もチェックする。蒸し牡蠣は酒で蒸している。あともうちょっとかな?焼き牡蠣も2個はいい感じになってきたのでさっとあけてイオくんと天くんに一個ずつ開けてあげる。実にぷりぷりで大きい、良い牡蠣だ。


「これは焼き牡蠣。レモンかけても醤油かけてもそのままでもいいよ!山椒オイルとかはどうかな~ちょっと刺激があるから……私は好きだけど」


 そんなうちにわたしとアオくんの分も焼きあがる。そして、また、新しい牡蠣を並べて焼き始める。こんなに一気に調理しても大丈夫か~?っておもったけど、難なく高速で消化されていく。焼き牡蠣、完全に無言で消えた。

 そして蒸し牡蠣も大体いい感じ。男子3人の食欲、意外でもなくやっぱりすごい。誰ださっき女子でも30個食すで引いてた子は。

 まるで給食のおばさんか寮母さんか。私が蒸し牡蠣と焼き牡蠣をどんどん仕上げてる先から吸い込まれていく。これは蟹でも食べてるのか?というぐらい無言。

 私もとりあえずは焼き方に徹しながらも適度につまみ食いし、クエストの納品と受注を繰り返し、実績を増やしていく。再受注可能って本当にありがたい、上限5回だけど。


「……あれ?生牡蠣がなくなった……」

「蒸し牡蠣2ターン目できあがるけど」

「納品用の100個……」

「鮮度が……」

「またとればいいとおもう。まだいっぱいいたし。ユウ兄ちゃんにもあげたいな!」

「ああ、確かに兄さんにあげてもいいよね。なんか美味しいものつくってくれそうだし。あと残りあったらオイスターソースも作れるよね。っていうか造るか、兄さんが」


 そうだよ。素人がオイスターソース作るより、プロのほうがよりしっかり美味しいもの作ってくれるよね?そうだよ頼もう!中華の料理人じゃないけどまあ、大丈夫でしょう。


「じゃあ、今から食べられるだけ食べて、足りない分は、また狩ることにする?」

「腹ごなしですね?望むところです」


 イオくんは無言で頷き食べ続け、天くんはにこにこしながら食べている。ホントマジで良く食べるな~。ゆうにもう、30個は越えている。新たな100個に手をつけはじめ、味変を駆使しながらガンガンたべている。

 私はというと、現在25個ぐらい食べたところで、適当につまむモードに変更。チーズ焼きやケチャップかけたりと変わり種もつくったりして、みんなの食欲が満たされる状況を観測。実際ペースは落ちてきている。

 と思っているうちにさっき採った200個あまりを完食してしまった。


「まだいけそうですが、この辺でいいですね!」

「そうだね」

『ごちそうさまでした』


「じゃあ早速狩り開始しましょう。ハギとフジが言うには、100個以上の貝を貝塚捨てた時点で特殊モンスターが湧くってことだったから、今捨てないほうがいいですよね」

「おーけーおーけーじゃあ、腹ごなしに狩りにいこう。ここ一帯が広大な養殖場みたいな感じだというのに、あまり狩りに来る人がいないそうだから牡蠣が結構大きいんだよね。ある程度間引いたらまた新たな稚貝が定着して、どんどん増えるんだろうね」

「もしかして、稚貝だとあのモンスターも小さいのかな」

「いや、稚貝だととらないんじゃない?」

「そりゃそうか」

「じゃあ、やっちゃおう!」


 食後にそんな動いたらお腹いたくならない?と思うぐらいのノータイムぶりで立ち上がりストレッチを開始する。

 そして戦の前に、しっかりみんなで後片付け。空の貝はバケツに貯め、コンロや網は片付ける。オイスターナイフもきれいにふいてはみたけれど、あとで真水で洗わねば。しかしみんなきれいに食べるし、荒さないからほんとうにとりあえずの後片付けは【無限フリースペース】に放り込むだけ。


 そして始まる2セット目は1セット目より早く、300個あまりを採り、100個は納品、100個は保管、100個と余りは兄に送る。因みに真珠入りの牡蠣は1セット目にはなかったのだけれど、2セット目は意識的に先に鑑定し探査し蒐集。くっついてくるモンスターの差もなく、難なくクエストクリアとなったのであった。

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