第257話 浮世音楽堂(21)

 ミーティングが終わり、アオとイオはとても絶望的な顔をしていた。ハギとフジはというと、もう満足したのか、天くんと手を繋ぎ満足げすぎるテンションに戻っていた。

 

「オレたち、とびぬけた音楽の才能ってないよな」

「ああ、まったくない。楽しむ程度だ。どうしような」

「天に頼んで閃閃と閃電を呼び寄せて…とも思うけど、あそこ中の上ぐらいだよな」

「正直、一番得意なのって師匠だよな。あ、でもチーズさんもなんだっけ…ピアノ?うまかったよな」

「ああ、あにさんのあの時の顔、見たことない顔してた」

「基本的にそれほどうまくなくてもいい、ってことらしいけど、上手かったら絶対何かあるよな、特殊道具だもんなどうみても。僕たちの人生の間にもう一回触らせてもらえるか、というと、きっと無理だよね」

「……それだよなあ……」


 ソファに座りながらふたりで店を仰いでる。いや、私の腕でよければ使ってくれて全然かまわないけど、いや、そこって遠慮するところか?!いや、指揮に徹していた魔女さんの実力はわからないけど!私がそこには及んでいないとはおもうんだけど!ブランク凄いし。

 ……そういえば魔女さん、国外には10分ぐらい出れるんだっけ?でもこのアイテム託したのって国王なわけだから…こっちで解決しろってことだよね?多分。


 私に任せて!といえるほどの腕は磨かなかったし、ああ、なんというか、もどかしい。ただ、この世界にきてレベルという概念の中で成長するにつれ、昔使っていた筋肉が復活したというか、記憶にしても何にしても【スキル】というくくりとランク付けによってそれぞれ別個の成長が許される状態になったのが面白くもある。

 

 例えば銃を撃つに必要な視力、動体視力、アジリティー、衝撃に耐えうる体幹の強さ。

 重ねて例えば重量物を持ち上げ運ぶための筋力。まあ、顕微鏡をのぞいたり培養したりっていうのはこの場合は関係ないので割愛するとして。

 そして、演奏を行うに必要な筋力、柔軟性、そして長時間の演奏に耐えうる体力。


 まずもって銃と楽器が一番相性が悪そうだというのに、楽器演奏のスキルはとってはいないというのに、いや、そもそもあるのかもわらないけど、レベルに付随してあがる筋力で先日ピアノを弾いた時点で私の全盛期の9割程度には近しいぐらいの適合した筋力は復活していた。


 こう考えてみると多種のジャンルをつまみ食いしたみたいになってる私のこの中途半端さよ、とも思うが、もうこの中途半端を突き詰めることが許される世界に来たんじゃないのか?!って気も最近しだしている。


 

「そうだ、お前たち『浮世音楽堂』の展開のタイミングだがな、 さっき言い忘れていたが明日が一番良いタイミングだぞ」

「明日葬列があるからな。国のメインストリートを馬車で練り歩くイベントだ」

「先代からだから……いつぶりだっけ」

「主の弟子たちの人生ぶりぐらいじゃないか?多分」

「新たな王に祝福の一つも与えてもいいけどな、一応我らは精霊だしな」


 結論、友を音楽でおくりたい、というのはモヤ王の気持ちってことなんだろうな。上手い下手は別として。ただ、そこにアオくんイオくんには『見た事のないアイテムの使用権』が絡むからややこしい。

 そして音楽は私が何とかするとしよう。舞なんて舞えるひとなんて、いるのか?私がこの世界にきてから音楽には触れたけど舞にふれたことは、無い。


 もうこれは、王の気持ちを伝えてあげるということをメインにして出来栄えはまあ、割愛していく方向で調整していくしかないかな、とおもいつつもこの双子、知ってはいたけれど最高効率で最高点をはじき出したい完璧主義者の気配がしまくっている。

 

「ねえ、あおあお、結局誰が躍るの?ぼく?閃閃と閃電も呼んで3人で舞を舞ってもいいよ?」

「天、踊ったことあった?」

「ないけど、身体が知ってるよ?母様からの遺伝っていうのかな。一子相伝となるものは刻まれてると思う。ぼくが大人になる前に万が一のことがあったらきっと妹か弟の誰かに継がれるんだろうね」

 

 この世に生を受けて半年ぐらいの見た目少年が口にするとは思えない言葉が紡がれてちょっと面食らった。


「ぼくってそう言う生き物らしいんだよね」

 

 そしてそれをきいたハギとフジが突然滂沱の涙をこぼしだす。

 

「突然万が一とか言わないでください」

「我々が愛してやまないあなたがそのああ、ような言葉を紡がれてしまうと、この世の終わりが来るまで生が続くことが残酷に思えてきてしまいます」

「ごめんごめん、ハギもフジもかわいいなあ。知っているかもしれないけどぼくたち鳥竜種のでも白竜はレアでね、生まれる前に大きな祝福を与えてくれたユウ兄ちゃんの影響もあってぼくのドラゴン体が白竜だとは思わないでしょ。黒髪だし」

「美しい黒髪です!そしていつか竜としての姿も見せて欲しいですほんとうに」


「……母さまも拉致されて命を狙われていたところをユウ兄ちゃんに助けられたっていっていたんだ。そのぐらいぼくも狙われやすいらしい。だからよっぽどの相手でさえ蹴散らせるユウ兄ちゃんの庇護の元に入ってほしかったんだって言ってた」


 天くんほんと言語の発達半端ないな?!そしてこのハギとフジは天くんへ心酔どころか泥酔してんじゃないのかこれは。

 そして私の関心は、一緒に言語を学んでいるというういも同程度話せるとしたら、飼い主との会話デビューしてほしいなあと。心の底から。


──


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