第34話 ギルドクエスト/研究者ギルド(3)

 フェス用のポンチョと長靴は最強だった。とかいいつつ、研究者ギルドと冒険者ギルドの宿の間の距離は約100メートル。どんなに荒天でもビビるほどは全く遠くない。

 あと何か、天気が悪い時に銃を買うのは縁起が悪い気がするので今度にしよう。


 研究者ギルドは冒険者ギルドの次に高ランク冒険者が属している。ちなみに医療ギルドは素養とか魔法属性が大いに影響してしまうため、その次だ。ランクはSランクからEランクまで、Cランクまであがれば冒険中でもポーション合成、毒消しや麻痺消し等、随時合成が可能となるため、MPが切れた際の生存率を上げるという点で必要不可欠なギルドランクといえる。ただ、器用さもランクアップには必要となるため、Cランクはパーティーに一人はいてほしい、ぐらいの重要度なので高ランク保持者第2位なのである。


 さて、テストテスト


 マニュアルを読んだ感じだと、薬草を均等に配合しすりつぶし、汲んできた水で煮だし、特殊な機械で蒸留のようなことををするとポーションが出来上がるらしい。正直計ったり温度管理をしたりそういうことは学んできたし得意技なので、早くやってみたい。


 まず、テストを受けたいという意思表示と、採取してきた材料を提出する。その後座学があり、器具の取り扱い方法と、テストの方法と合格基準が説明された。


 その後、個室実験室に案内され、後ろに試験官が控える。アオくんは待合で待機していてもらう。


 まず薬草2種類を同一グラム、均等に混ぜ合わせ大きな乳鉢ですりつぶす。きれいに均等に混ざったところでフラスコに移し、湖の水を入れ攪拌。そこに微力の魔力を流しこみながら蒸留器のようなもので精製する。そうすると、ポーションができる。


 本来なら本来の質量1:ポーション1ぐらいの割合で錬成となるということになっているのだが、


 蒸留した先の量がおかしい。1:5ぐらいの割合で水が噴き出る。一体どこから出てきたものか!


 試験官も驚きながらポーション仮を採取。

「こんなこと初めてですよ。明らかに何かが混ざって増えてるとは思いますが、無から生じるのは難しいと思うので大気上の水でしょうかね」


 そんなことをいいながら、別室に出来たものを持っていく。

 なんか全く別のおかしなものとか実際ただの水でした、とかじゃなければいいんだけど。


 片付けをしたうえで待合に戻り、結果を待つ。結果は鑑定ボードというものがあり、その上に乗せることでわかるということ、その立ち合いは職員3人によるものという事前説明もあった。


「チーズさん、結論がでました。これは紛れもなくポーションです。Dランクへのランクアップおめでとうございます。登録情報の書き換えがありますので、準備が終わるまで待合でお待ちください」

 とだけ言うと、手続きに必要と思われる書類を取りそろえにいった。

「思いのほかあっけないね」

「実際最初はこんなものですよ。研究者ギルドはCランクまでが厳しいと聞きます。この先もがんばりましょうか」

「そうだね」


 その後お役所仕事全開で、書類準備だけだというのに1時間ぐらい待たされた。

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