後編-6-

 アイさんのダイレクトメールは四連休の最初に届いていたようだ。受信日時を見ると俺が執筆を始めた頃合いだ。おそらく気づかず執筆に集中していたんだろう、今になって気づいた。とりあえず、『知りませんね。忙しいんだとは思いますが……心配ですね』と返信しておく。

 それから、俺は夢カタルのSNSを確認した。確かに、頻繁ではないにしろ一週間に二、三回は更新していたのだがぴったりと止まっている。ちょうど二週間前からのようだ。一応、ブログの方も確認。こちらも更新が同時期に止まっていた。


「忙しいんだろ」


 その結論に達するのは当然だった。書籍化も決まり、次はアニメ化も決まっている作家だ。やらなければならないことが山ほどあるはずだ……知らないけど、たぶん。そりゃファンへの情報展開より、求められている仕事が優先のはずだ。


「そのうち、アニメ化の詳細とか言って更新するだろ。今は他人より自分のことだ」


 気合いを入れ直して、執筆の続きを――と、思ったが、とりあえずは食事だ。そして仮眠も必要だろう。作品を完成させる前に死んでしまいました――なんて洒落にならない。

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