第4話 中間テスト
身体が太陽のようになってから二週間が過ぎようとしていた頃。私は日常ではない日常に慣れつつあった。
クラスの人から囁かれるようになることも少なくなり、近所の人からはもはやちょっとしたマスコット的扱いを受けていた。
そんな折、帰りのホームルームで担任がこの時期特有のことを言い出した。
「あー……最後に。あと二週間で
そうして帰りのホームルームが終わり、クラス内ではテストの話題で持ちきりとなった。ああやって盛り上がれるの、良いなぁ……。
そんなことを考えつつ、黙々と帰り支度をする。テストに関しては今までやっていた範囲を復習しておけば十分なので、なにも焦る必要はない。これでも勉強だけは漠然と、継続してやってきたことだから。
席から立ち上がり、喧騒の中教室から出ようとする。
「日野さん、ちょっといい?」
「ん?どうしたの黒田君?」
後ろから呼び止められ振り返ると黒田君がいた。なんの用だろうか?
「さっき中間テストって言ってたよね?」
「う、うん……」
「良ければさ、勉強教えて欲しいんだけど……どう?」
「え……!?」
黒田君が、勉強を……?
今までなかった実に学生らしいイベントを黒田君に提案されると思っていなかった私は、多分にやけていたと思う。しかし太陽の光と私の表情筋の硬さゆえにバレていないと思う。
とりあえず落ち着き払って応える。
「良い、けど……」
「ほんと?じゃあ今から図書室に行こうか!」
「え、今から!?」
そうして先を行く黒田君の後を早歩きで追いかける形で、図書室へと勉強を教えに行くのだった……。
◎◎◎
そうして図書室へと着く。テスト二週間だからかいつもより人が多いように感じる。
毎日図書室に通っているわけではないが、適当に時間を潰すために本を読む時があるのである程度勝手は知っている。
図書室に入った瞬間、あちこちから眩しいやら騒がしいやら囁かれてしまったが、今更気にすることでもないのでスルーする。ちょっとだけ、申し訳ない……。
黒田君は図書室に入るなり、
「あ、黒田君!どう?なんとかなりそう——って眩しっ!?」
「図書室ではお静かにっ!!!」
あ、スイマセン……と小さく図書室の教員に謝る彼女。目を細めながら黒田君と私を交互に見ている。……なんとなく気まずい。
「この人……日野さんが助っ人?」
「そうだよ。ね、日野さん?」
「助っ人……?」
一体全体どういうことだろうか?私は黒田君に勉強を教えるのではない……?
「ごめんね日野さん。
「はあ……」
そこで月宮さん、という女の子がボリュームを落としつつ必死そうに、目を細めながらこちらに挨拶をする。
「私、
あまりにも必死に頼み込む彼女——月宮さんがなんだか可哀想に見えてきてしまったので、ついつい了承してしまった。
ここからまさかあんなに苦労するとも知らずに……。
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