第9話
「一体何が……?」
俺は気絶から目覚め、よろめきながら立ち上がった。
何か変な声がしてすぐ意識を刈り取られことだけは覚えている。
確か、炎竜の加護がどうとか……
加護、と言われて思いつくのは古代の魔除けの酒の加護である。なので俺はとりあえずステータスを開いてみた。
すると、
「……は?」
――――――
【名前】源田源五郎
【ステータス】
HP 3100
MP 100
力 A
守り A
知力 F
敏捷 A
運 G
【スキル】
・ランダムダメージ(はずれ)
効果 :対称1体に1~9999の中からランダムで固定ダメージを与える(運依存)
クールタイム:10分
消費MP :70
射程 :長い
・炎竜の加護 (???レア)
パッシブ効果 :全物理ステータス上昇(特大)、五感強化
アクティブ効果 :全部物理ステータス上昇(極大)、炎竜の力の一部解放
クールタイム :なし
MP消費 :30秒毎に総MPの1割
——————
なんかめっちゃ強くなっていた。
「炎竜の加護……これが、試練ダンジョンを踏破した者に与えられる力か」
一瞬にして最弱の俺が、A級冒険者と遜色ないステータスにまで上がっている。
その上アクティブ効果を発動すれば更に強くなれるらしい。
なるほど、確かにダンジョンの難易度に相応しい報酬だ。
「さて……後は、ここからどう動くかだな」
今の俺のステータスなら、落ちて来た横穴にジャンプして戻ることも出来るだろう。
しかし、きっとこの下には獄炎竜のドロップアイテムやダンジョンクリア報酬のお宝が待っている。それを取らずに帰るというのはあまりにも勿体ない。
下までは70メートル以上。普通に考えればただじゃすまないが……
「アクティブ効果を使えば……飛べるか?」
俺はMPを消費し、アクティブ効果を起動。
すると、全ての物理ステータスがSSまで上がっていた。HPも2万にまで増えている。
「なるようになりやがれっ!」
――全ては、チート村の風俗で豪遊する為。
俺は勢いよく水晶の窪みから飛び降りた。
ふわっと身体が浮き上がる感覚は想像の何倍も恐ろしいが、必死に地面を見据える。溶岩に落ちるわけにはいかないし、腹から落ちるのも論外。
「こういう時は足から落ちて肩使ってローリングするんだ。昔テレビで見たああああっ!?」
俺は恐怖に耐えながらなんとかローリングを決め……どうにか着地に成功した。
ステータスを見ると、2万あったHPが1000まで減っている。あ……これ着地に失敗したら死んでいたな。
流石に一升瓶を持ってスカイダイビングするわけにいかなかったので、魔除けの酒は水晶の窪みに置いて来た。
あれはあれで超級のレアアイテムだし、その内取りに戻ろう。
「これが、獄炎竜のドロップアイテム……!」
落ちていたのはでっかい角とでっかい皮が数枚、それから瓶詰めされた溶岩だった。
そのどれもがこの世界で最上級の素材なのは間違いない。加工すればとんでもない装備が出来るだろう。
ボス部屋の奥には小部屋があり、そこには大きくて豪華な宝箱が置いてあった。
ダンジョンのクリア報酬だ。
中身は小高い金貨の山と大小さまざまな宝石、それから幾つかやばそうな効果を持った装備品が入っていた。
「ご丁寧にマジックバッグからまで置いてあるとは助かるな」
あの巨大な鱗とか角とかどうやって持ち運ぼうか悩んでいたが、マジックバッグがあれば安心である。
そうして、俺がドロップアイテムと宝箱の中身を全て回収し終えたのと同時。
不意に視界が青白い光に染まり――気付けば俺はダンジョンの外に放り出されていた。
「クリアされた事でダンジョンが消えたってことか……?」
ダンジョン内では時計がなくて分からなかったが、辺りは真っ暗で今は深夜だった。
「よし……それじゃ、風俗行くか!」
とりあえずさっき手に入れた金貨で遊びまくろう。
そう思ったところで……俺の身体がふらりと揺れる。
そういえばもう3日も寝ていなかった。いくらステータスが強化されても流石に身体が限界だ。
そういうわけで、ひとまずは宿屋に泊まって寝ることにした。
――明日こそは絶対に豪遊してやる。
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