色鮮やかな恋(中編)

「お前を二人の婿にする、嫌なら警察につきだすがどうする?」

「はい、分かりました。俺を警察につきだしてください」


「何故だ、警察なんかに捕まるより、八尾谷家の婿になった方がいいだろう」

「いえ、これは俺の主義の問題です。ショタというものは自然体を愛でるもの、そんなショタに手を出して、いや出されてしまった俺は警察に捕まるのが正しい」


「ただの種馬かと思っていたが、よろしい。正式に八尾谷家の婿として、お前を認めよう」

「え? いや、だから、俺は警察のお世話になります」


 俺があくまでも双子のお婿さんじゃなく、警察に性犯罪者として捕まると言うと、俺は両側から服を引っ張られた。そして蒼くんと碧くんの二人が泣き出してしまった、ショタを悲しませてしまうとは心苦しいが、俺もそう簡単に主義を曲げられないのだ。


「やー!! うえええぇぇん、蒼と健太は結婚するの!!」

「うぅ、うえええぇぇん、駄目だ!! 碧と健太は結婚するんだ!!」

「あのね、二人とも落ち着いて、俺がした……、いやされたことは俺を犯罪者にすることなんだ」


「やー!! 健太と蒼は一緒にいるの!! これからもずっと一緒にいるの!!」

「僕だって嫌だ!! 碧と健太は一緒なんだ!! 絶対に逃がさないからな!!」

「いや、だから俺は犯罪者になっちゃったから警察に自首するから、二人とはもう会えないよ」


「うえええぇぇん、やー!! 健太は一緒なの!! 蒼と一緒なの!!」

「ひっく、うえええぇぇん、駄目だ!! 駄目だ!! 碧と健太は一緒にいるんだ!!」

「あっ、もう俺は警察に行くから、それじゃ……」


 その後、俺は警察に本当に自首しようとした。イエス・ショタコン・ノータッチの誓い、それを破ってしまった俺は少年院か投獄されて当然だった。だが蒼くんと碧くんはしつこかった、俺の体にすがりついて泣き喚き絶対に放そうとしなかった。


「あのお二人のご両親、この二人を俺から引き剥がしてください」

「その子たち、頑固なの。でも凄く勘が良くて、掘り出し物は見逃さないわ」

「お前はもう八尾谷家の婿だ、警察になんていかせたら我が家の恥だ」


 そうしてすったもんだのあげくに俺は八尾谷家に住むようになった、そうしないと母さんも父さんも仕事を辞めさせると言われた。俺は恐る恐る母さんに電話して事の次第を話した、そうしたら後日俺の両親がやってきて、不束な息子ですがと俺を正式に八尾谷家に預けていってしまった。


「わーい、ふふっ。健太さん、これで正式に蒼と愛し合えるね!!」

「健太だけだぞ!! とっ、特別なんだから碧に感謝しろ!!」

「いや、俺は婚約者になった覚えはないよ!?」


「健太さん、蒼のこと嫌いなの!? ショタコンなのに!?」

「けっ、健太。碧のことが嫌なのか!? 健太、ショタコンだろ!!」

「好きか嫌いかの前に、十六歳未満の子どもには同意があっても、手を出しちゃ駄目なんだ!!」


「蒼、そんな法律を守る気ないの」

「僕の知ったことかそんな法律、碧はやりたいようにやる」

「うっわっ、俺の貞操の危機!! 駄目なものは駄目だからね!!」


 それから俺と双子の攻防が始まった、俺は八尾谷家の婿として扱われることになった。だから、食事もお風呂も寝る時も双子と一緒だった。俺が自由なのは学校にいる時だけで、放課後もすぐに迎えがくるから何もできなかった。八尾谷家の車は放課後の俺を強制的に迎えに来て、次に母さんのいる幼稚園から双子を乗せて毎日大きな家に帰るのだった。


「健太さん、蒼がちゅーしてあげるの。健太さんのも舐めてあげるの」

「しっ、仕方がないから碧が色々教えてやる。健太!!」

「いやいや、教えて貰わなくても知ってるから!?」


「嘘!? 健太さんにはセックスする彼女がいたことはないはずなの!! それにショタコンだって!!」

「そうだ、興信所からの資料にはそう書いてあった!! いつも彼女とは精々キスどまりだって」

「俺、いつの間にそんなこと調べられてたの!? 確かに俺はキスまでしかしたことないよ。でも保健体育の授業で、何をどうするかくらいはみんな知ってる!!」


「それじゃ、それを蒼に教えて欲しいの。健太さん」

「やっ、優しく碧に教えろよ!! 健太」

「いやいや、君たちと俺は十歳も年がはなれているからね!! 何かするなら十八歳以上になってから!! その前に俺は君たちと結婚するって認めてないからね!!」


 俺は必死になって蒼と碧を説得しようとした、でもこの双子は全く俺の言うことを聞かなかった。そして俺が隙を見せた時などに襲ってくるのだ、俺は何度も何度も双子に襲われた。もう俺用の拘束具が買ってあって普段どこに隠しているのか分からないが、俺は腕を傷つけないカバーがついた手錠などで拘束されるようになった。そうして始まるのは蒼と碧からのキスとフェラだった、二人ともまだ体が幼かったから、それだけでどうにか俺の貞操は守られていた。


「今日から蒼は小学校なの、ちゅーして健太さん」

「碧だって小学校だぜ、おらっ、ちゅーしろよ!! 健太!!」

「ああ、もう小学生か。蒼、おめでとう。碧も、おめでとう」


 俺は普段色々なことをされている双子だが、二人への小学校の入学のお祝いだと思って、言われた通りに二人の頬に軽いキスをした。そうしたら、双子が物凄く騒ぎ立てた。


「キャ――!? 蒼は健太さんからのちゅーは初めてなの!?」

「健太!! 碧にもう一回!! もう一回ちゅーしろ!!」

「もうしません、小学校入学のお祝いです」


「もう、今度捕まえた時に蒼はフェラで搾り取ってやるの!!」

「なんでもう一回してくれねぇんだよ!! 碧もそうしてやる!!」

「その前に!! 俺の意志を無視して手錠とかするの止めて!! キスとかフェラもしないで!! 十六歳未満への性的接触は犯罪なんだからね!!」


「法律なんて知ったことじゃないの、早くしないと健太さんと愛し合えないの。うぅ、うえええぇぇん!!」

「そうだよな、僕も蒼も背が伸びてきたし、ショタコンの健太から興味を失くされる。だって、うぅ、ぐすっ、うわああぁぁん!!」

「背が伸びるのは蒼も碧も正常に成長してる証だ、泣くようなことじゃないからそんなに泣かないで」


 その日、双子は小学校に入学して少し伸びた背丈を嘆いていた。俺はショタが健やかに成長するのが好きだったから蒼と碧を必死に慰めた。二人は少しずつ確実に成長していた、もう五年も経てば俺のストライクゾーンの可愛いショタではなくなるはずだ。俺も高校生になっていた、色々とエッチなこともされたが、俺にとって蒼も碧も可愛くて仕方がなかった。口ではなんだかんだと厳しく言いつつ、俺は蒼や碧からの愛情に絆されていた。


「いかん、いかん、しっかりしろ。俺、高校卒業までに資格をできるだけとって働かないと」


 俺はあくまでも八尾谷家の一時的な客だと思っていた、蒼や碧の婚約者なんてとんでもない話だ。正しいショタコンでいられなかった俺は、もうショタコン失格だとさえ思っていた。だから二人に手を出そうなんて思ってもいなかった、そうこうしているうちに二年が過ぎた。蒼も碧もすくすくとよく成長して、もう数年で俺のストライクゾーンの外だった。そんなある日のことだった、俺たちはいつもどおりに仲良く喋りながら、高校と小学校から帰る車に乗っていた。


「最近の健太さん、隙がないの!! 蒼は欲求不満なの!!」

「健太、もう碧には興味ないのか!? 背が伸びたから嫌いになったのか!?」

「違います、俺は蒼も碧も大好きです。ただ俺は法律を守っているだけです」


「蒼のことが大好き!? むぅ、ならどうして婚約者を断るの。健太さん」

「碧のことも大好きなんだろ!? それなら大人しく婚約者になれ!!」

「蒼にも碧にもそのうち良い人が見つかるさ、俺みたいなショタコンなんかじゃない人が」


 その時だった、車がいきなり急停車したのだ。僕も含めて蒼や碧には、シートベルトをさせていたから大丈夫だった。でもその後が大丈夫じゃなかった、運転席のガラスが割られて運転手さんが引きずりだされた、俺が助けに行く暇もなかった。そして知らない男の人たちが運転席と助手席に乗り込んできて、車はいつもの帰る道を外れて走り始めた。男たちは黒い目出し帽を被っていて、顔は分からなかった。そして、そのうちの一人がこう言った。


「暴れたらそこの高校生から殺す、ガキも二人いるんだ、一人は殺してもいいことになっている。だから、暴れずに大人しくしていろ。それから全員、携帯を寄こせ」


 そして俺たちは携帯を三人とも取られた、携帯のGPSで位置が分からないようにだ。それから三人とも目隠しをするように言われた、俺は震えている蒼や碧を抱き寄せながら二人に目隠しをして、俺も目隠しをして何も見えなくなった。それから車は長い時間を走って止まった、俺たちは目隠しをとって車から降りるように言われた。着いた先は廃工場の事務所のようなところだった、一応電気もついていて犯人たち二人は、子どものどちらかを選べと俺に言った。


「指を切り落として身代金を請求する、どっちのガキでもいい。選べ!!」

「それじゃ、俺の指で頼む。俺はこの二人の婚約者だ、俺の指で十分に身代金は請求できる」

「健太さん!?」

「健太!?」


 俺は抱き寄せている二人の口に指を当てて黙っているように合図した、犯人たちは少し相談していたが婚約者の萩原健太というのはお前かと言われ、俺は学生証を出して自分が萩原健太であることを証明した。そして蒼と碧を縛るように縄を渡された、俺は前結びで二人を縛って犯人に見せた。それから俺は二人の目の前で良く斬れる鉈で、左手の小指を第二関節近くから切り落とされた。


「指はガーゼで包んでビニール袋に入れて!!」

「一緒に氷水の袋も入れるんだ!!」

「しぃ、蒼に碧。いいから黙っているんだよ」


 俺は当然切り落とされた指が物凄く痛かったが、なんとか笑顔を作って二人にそう言った。そうして俺は切り落とされた左手の小指のところにガーゼを糸で巻き止血され、蒼や碧と同じように前結びで縛られた。そうして俺たちはこの事務所らしき場所の床に座っていろと言われた、俺を中心にして床に座ってそうしたら蒼や碧が俺に震える体を寄せてきた。


「大丈夫だ、おじさんやおばさんが必ず身代金を払ってくれるさ」

「でも健太さんの小指!?」

「そうだよ、健太の指が!?」


「しぃ、大きい声は出さないでいようね。良い子だから蒼に碧、今は黙っていてね」

「………………」

「………………」


 それから数時間が経っただろうか、俺は蒼と碧がもぞもぞと動きだしたので、その理由を察して俺から犯人に話しかけた。


「すまない、犯人さん。俺たちをトイレにいかせて貰えないだろうか?」

「その対価は何だ? 小便でも糞でも漏らせばいい」


「俺の左手の薬指をやる、もう一本指を送れば話も早くなると思うぞ」

「………………ちょっと待ってろ」


 そうして犯人と交渉した結果、俺たちは一人ずつトイレに行くことができた。俺は左手の薬指を第二関節近くから失って、またガーゼを糸で巻かれて止血された。蒼も碧も泣きそうになっていたが、俺はそろそろ助けが来る頃だと思っていた、俺と蒼と碧には居場所が分るように発信機が服に取り付けられていたからだ。それからしばらく経って外が騒がしくなった、犯人は蒼か碧を人質にとろうとした、俺はそんな犯人の手に噛みついて二人から遠ざけた。


「このくそガキ!!」

「人質なら俺にしろ!! 小さな子どもじゃない分、捕まった時にも罪が減刑されるかもしれないぞ」


 俺は犯人にそう言って興味を引いた、犯人も仲間などに連絡して返事が無いことで慌てていた。そうして、俺の思い通りに犯人は行動してくれた。


「分かった!! てめぇを連れていってサツの銃の盾にしてやるよ!!」

「ああ、そうしろ。蒼も碧もしぃーだよ、もうしばらく黙っていてね」

「――――――!?」

「――――――!?」


 そうして俺は真っ青な顔をしている蒼や碧に黙っているように優しく言って、犯人と一緒に外らしきところへ連れていかれた、大勢の人が来ていて犯人は包丁を俺に突きつけながら喚いた。


「金と車はどこだ!? 持ってこねぇとこいつを殺すぞ!!」


 それに対する警察からの返事は銃弾だった、どこからか銃弾が飛んできて犯人の肩に当たった。俺は最後の力を振り絞って犯人を蹴り飛ばした、そうして犯人から俺が離れたら大勢の人に犯人は押さえつけられた。俺は犯人の最後の一人が捕まってホッとした、そして警察の人に蒼と碧が中に無事でいることを伝えた。そして俺にされていた縄を解いて貰って、警察の人と一緒に二人を迎えに行った。


「蒼と碧、もう大丈夫だぞ。怖かったな、よく黙っていた。偉いぞ、二人とも!!」

「健太さん、それより指!!」

「そうだ健太、指だ!! まだ繋がるかもしれない!!」


 そうして俺は病院に連れていかれて手術を受けた、時間が経ちすぎている小指は駄目だったが、薬指の方はなんとかくっつける手術を受けれた。手術の後に蒼と碧の両親から俺は凄くお礼を言われた、そうしてしばらく俺は入院することになった、俺の病室には毎日必ず蒼と碧がお見舞いにきた。


「健太さん、大丈夫?」

「健太、大丈夫か!!」

「うん、小指は駄目だったけど薬指の再接着は上手くいってるって、もうすぐ退院もできるからそんなに心配しないでね。蒼、碧。それよりカウンセリングは受けた」


「うん、カウンセラーの人とお喋りしてる。健太さん、大好きぃ。うぅ、うえええぇぇん」

「カウンセラーが煩いけど行ってる。健太、大好きだ。うぅ、うえええぇぇん」

「ああ、でも泣いてすっきりした方が良いか。ここは個室だし、よしよし二人ともよく頑張った」


 俺は蒼と碧の二人を右手と小指が無くなった左手で抱きしめた、そうして二人が泣き止むまで俺は大事なこの子たちを抱きしめていた。そうして十日間が過ぎると、俺は退院させてもらえることになった。左手の薬指は八尾谷家のお医者さんに毎日診てもらえることになった、退院の日は蒼も碧も嬉しそうに笑っていて、俺たちは三人で車に乗って八尾谷家の大きな家に帰ってきた。


「蒼も碧も無事で良かったよ、俺は本当に嬉しい!!」

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