老夫婦の140字小説
バブスラ
老夫婦の朝
チン。
トーストが出来上がる音で目覚める。
今日は私が朝食当番のはずなのに。
「もう、あの人ったらまた」
台所でのそのそと働く猫背に向かって声を掛ける。
「どうしてあなたはいつも私をご機嫌にしてくれるの?」
「……コーヒーの味が変わるから」
目を合わせずに豆を挽く夫の耳が少し紅い。
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