第15話 九階で半グレ達と大乱闘
俺達は九階に入った。
山下さんを先頭にして、その次が俺、その次がケインさん、そして後ろに『サザンフルーツ』の三人だ。
半グレのたむろしている所があるとの情報が入って、わりとピリピリしてるね。
洞窟内は光源が無いのでうす暗い。
ランタンやライトで辺りを照らしながらの行軍となる。
ライトに照らされた岩壁がなんだか威圧的だね。
おじさんは一昨日、ライトも持たずに洞窟に迷い込んで困ったものだった。
準備をしておくと結構違う物だね。
灯は必要だったね。
ちなみにライト無しでも、真っ暗ではないので進め無くはない。
薄暗いぐらいの照明はある感じ。
半グレはまだ出てこないが、魔物は容赦なく現れて襲ってくる。
まあ、山下さんが叩き斬ってしまう訳だけどね。
山下さんはレベル五十代らしい。
結構なベテランさんなのだ。
ここら辺の魔物はどうって事は無いらしい。
それでもトレインされるとやばくて死んでしまったわけだけどね。
通路一杯に半グレが集まっていた。
あんまり集まると危ないんじゃなかったのか?
『多人数殺し』といって、一所に六人以上集まると、十階下の魔物が現れるらしい。
「止まりなあ、こっちはレイド制限一杯の十八人だ、あまり近づいてまとまると『多人数殺し』が出ちまう」
「十階のフロアボス狙いだ、通して欲しい。ただとは言わない」
山下さんがお財布を出した。
半グレは笑い出した。
「いらねえいらねえ、欲しいのは『サザンフルーツ』の身柄だ、おっさん達と、勇者ケインは頼まれてねえから帰してもかまわねえぜ」
「それでは話にならないな」
「交渉なんて無いんだ、最初からよう」
ふむ、半グレの長の人はなんだか若い不良だった。
見回した所、石松君はいないね。
透明ゴリラ対策を何かしているかな。
俺は一歩前に出た。
「高木さん、ヒデオだ」
「あいつが『透明ゴリラ使い』のヒデオか」
「通してくれないかな、高木さん」
「関係ねえ、関係ねえぜっ!! ヒデオ、お前がゴリラを召喚する前に焼いちまえば良いんだからようっ!!」
高木さんが手を振り下ろすと、三人の怪しいフード男が詠唱を初めて魔法を打ち出した。
おおー、実は初めて魔法を見るよ。
すごい、本当に【
でも、まあ、三発の【
「あ、ああ?」
「ゴリラは召喚なんかしないのよ、もう居るんだから」
「な、なんだと、ずるいぞっ!!」
ずるいと言われてもねえ。
「ゴリ太郎、ゴリ二郎、やってしまいなさい」
『『うほうほ』』
ゴリラ達は暴れ回って無双である。
見えないゴリラの攻撃を避けたり受けたりは出来ないので、ゴリラたちが手を振り回すたびに半グレ達が吹き飛んで壁に激突して崩れ落ちる。
「高木さん、バックにいるのは雁金興行の片瀬さんですよね」
「はあはあはあ」
「喋らないのか、ゴリ太郎」
『うほうほ』
ドカーン!!
ゴリラパンチで高木さんの目の前の床を陥没させてみた。
「ひいいいっ、ひいいいっ、片瀬の兄貴の依頼だっ!! どうしても『サザンフルーツ』を潰して、高橋社長の求心力を落としたいって、リ、リーディングプロモーションを乗っ取りたいって、そう、言ってた」
会社を乗っ取るために、リーディングプロモーション系の『サザンフルーツ』を潰して、社内の権力地図を書き換える感じか。
「だそうです、山下さん」
「まったく、ヒデオさんは有能だね。リーディングプロモーションには、業界第一位だったウイングチートプロダクション所属のタレントが沢山移籍して来たんだよ。それで、高橋社長を追い落として乗っ取ろうという派閥も多くてね」
「業界第一がつぶれたんですか、どうして?」
「いや、ケツモチだった司馬組がサッチャンに喧嘩を売って、報復で潰されたんだ……」
なにしてるんですか、サッチャンさん。
それで、芸能界の勢力地図が変わったわけだね。
魔物をけしかけてでも『サザンフルーツ』を殺して得をしたい大人がいるわけだね。
「高木さん、片瀬さんに伝えてください。俺とゴリラ達は『サザンフルーツ』を全力で守ります。決して殺させはしません」
「わ、わかった」
「護衛部で雁金興行に殴り込みに行くかい、ヒデオさん」
俺は『サザンフルーツ』の三人を見た。
彼女たちの安全と、自由な活動が大前提だなあ。
「高橋社長と相談しましょう、山下さん」
「そうだね」
ヒカリちゃん、ミキちゃん、ヤヤちゃんが寄ってきた。
「ヒデオありがとう、ゴリちゃんたちも」
「ヒデオさんは頼りになるわ」
「本当にありがとう」
「良いんだよ、『サザンフルーツ』が楽しく活動できるように、おじさんたちが何とかするからね、大船にのった気持ちで任せてね」
「うんっ」
「ありがとうございますっ」
「嬉しいですっ」
勇者ケインがこわごわと寄ってきた。
「つ、つよいな、ヒデオ氏のゴリラ、あっぱれだよ」
「ありがとうございます」
さて、十階フロアボスを倒してポータル使用権を得ましょうか。
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