第63話 日記20240810 不幸

 やよい件にて夕食を食す。

 季節限定ビフカツ定食というのがあったので奮発してそれを頼む。1230円なり。

 出て来たビフカツはナポリタンの上に載っている。

 これは大変に良くない。私は父親の誤った食育のせいでナポリタンは食べることができない。ありていに言えばケチャップが大嫌いなのである。


 最初にケチャップが発売されたとき、父親は世の中にこんなに旨い調味料があるのかと、幼い私に飽きるほど食べさせた。

 お陰で今はケチャップは大嫌いである。

 結核で体が弱かった父親は骨が丈夫になるようにとイリコを私に飽きるほど食べさせた。

 お陰で味噌汁に少しでもイリコの臭いがすると吐き気を覚えるようになった。

 偉大なるかな父親の食育。迷惑なことこの上ない。


 ビフカツに食いつこうとしたとき、新しい客が入って来て風上に座った。

 腐った汗の酸っぱい臭い。たちまちにして食事は拷問に変わる。

 馬鹿野郎。臭う野郎はコンビニで済ませろ。飲食店には入るんじゃない。

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