第6話 大木の下で
僕とサラさんは
五分ほど歩いて、
大きな広場に
コンビニのような
建物の周りには、
まるで、
サラさんが、その建物の前で足を止め、僕の目を見る。
もしかして、と思う。
「ここが、ギルドです」
「ここが……」
言われてみれば、異世界ラノベでよく見かけるギルドの
では、建物の
そう思っていたら、サラさんが言葉を発する。
「ナオキさん」
「はい」
「私は、今から
僕は、うなずいた。
「分かりました」
「良いですか。この広場からは、出ないようにしてくださいね。
「……はい」
「見るからに
「…………はい」
「広場を
「……………………はい」
サラさんは、僕を小さな
そんな
「では、私は仕事に行ってきますので」
「あの」
「何でしょう?」
「ギルドが開く時間は、いつ
彼女は、
「45分後ですね」
「分かりました」
「ギルドが開いたら、ナオキさんの
「
「いえいえ。これくらい、なんて
そう言って、彼女はギルドの
さてしかし、僕は今からこの時間をどう
とりあえず、広場のところどころに
しかし、今はどうだろう?
「
僕は、
木から生えた、緑色の葉と葉の間からは、
――この光は、どこから来る光なのだろう?
地球の場合は、
じゃあここは、その太陽の代わりとなる何かしらがあるのだろうか?
それは、何なのだろうか?
そんなことを考えていた時だった。
「――キミ、見かけない顔だね」
そんな言葉が、僕の耳に入ってくる。
声の聞こえてきた方向――右下へ顔を向ける。
そこには――
――いつの間に。
大木の幹に背中をかけ、
何の
少女は、黒いローブに身を
そのローブは、まるでワンピースでも
手には、黒い
頭には、フードを
顔には、笑みが
僕は、少女を見ながら、言葉を
「あなたは……?」
「うーん……何といえばいいかな……」
少女は、言った。
「――お
……ん?
お金持ちであり、正義の泥棒?
お金を持っているのに、
そして、正義と?
いや、意味が分からない。
というか。
泥棒と言っているが、
もしかして、
軽く
「キミ、
「…………」
サラさんもそうだったが、僕が
まあ、今の僕は高校の制服を着用しているし。
僕たちだって、
僕は、うなずいた。
「そうだ、僕は異世界人だ」
「いつここに?」
「昨夜だな」
「私が
「
「じゃあ、あれだ。私は、キミの
「大先輩?」
何のだ? と思ったが、もしかして――とすぐに
「あなたも?」
「そう、異世界人。
――ん?
「……それ、本当なのか?」
「うん、本当に異世界人」
「いや、そこじゃなくて……」
「じゃあ、どこかな?」
「あなたが、地球生まれの日本育ちというのは、本当のことなのか?」
彼女の言っていることが
少女は、口を開けた。
「そんな、つまらない
僕は、言った。
「実はだが――」
「――知ってる。キミも、同じところから来たんだよね?」
「…………」
彼女は、なぜそれを知っているんだろう?
僕のそんな、心の中の
「ここに来る異世界転移者は、みんな日本から来ているからね。だから私は、キミが日本人であることを、当然のように
「異世界転移者は、みんな日本から来ている……?」
「そう」
少女は続けて、
「あくまで、
と言った。
「…………」
僕は、思った。
この少女は、異世界転移のことや地球と異世界イソニアの
だとしたら、この
今のわけの分からない現状に対して、情報整理を行うのもいいかもしれない。
「あの」
「ん?」
「異世界転移のことやこの世界のことに関して、もっと情報が欲しい。何か他に、重要な情報とかはあるのか? あれば、教えてほしい」
「重要な情報は、一応それなりには持ち合わせているけど、これ以上は何も教えられないかな」
「それは、なぜだ?」
「まだ、
「そう言われれば、そうだな」
情報は、武器にもなるし、金にもなるからな。
しょうがないか、と僕は思う。
「じゃあ。私は、そろそろこの場を
少女が立ち上がる。
「私は――すごいものが見れたから
――
緑の
数秒経ってから、風はピタリとやんだ。
右下の地面に転がっていたのは、大量の
「
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