ゆいかの行方~3通目の手紙

神様へ

 あの日の夜、唯花のお母さんが僕の家を訪ねてきました。唯花がいなくなったらしいです。近所の人たちで唯花を探したらしいけど、公園の木の近くに唯花の荷物が置いてあったくらいで、唯花は見つからないみたいです。

 唯花にも会えなくなったの?


 みんなが探している間、僕は、一緒に暮らしている叔母さんにあの日の話を聞かれていた。

「何か知っている事はないの? 一緒に遊んでなかったの?」

「一緒だったけどケンカして置いて行った」

「なんで唯花ちゃんを一人にしたの? こんな事になっているのに。そもそも、なんでケンカしたの?」

 僕は、ケンカした事を話した。

 

 この事が原因で、学校は集団下校になって、放課後遊ぶのが禁止になった。

 そのせいで、僕たちは事件を探れなくなった。

 集団下校中、僕たちは班のお姉さんに遊びたいと話した。

 すると、ボランティアの人が同伴なら放課後遊べるようになった。お姉さんが地域の偉い人に言ってくれたみたいだった。


 お姉さん同伴で、放課後遊んでいる時、近所の人からうわさを聞いた。

「唯花ちゃんがいなくなる前、あそこの子といたみたいだね?」

「そうみたいね」

「お兄ちゃんが犯人なの?」

 僕は、話を聞きに行った。

「いや……本当かはわからないんだけどね」

「あそこの子が怪しいみたいなのよ」

「誰が見たの?」

「喫茶店で話を聞いたわ」

「私は悠希君のお母さんたちが話してるの聞いちゃって!」

「へえ、そうなんだ!」

「悠希君のお母さんはあの犯人は外部組なんじゃないかって言ってるみたいよね。悠希くんと唯花ちゃんはケンカしてるからなんだろうけど」


 僕と湊斗は、目撃情報の出どころを聞いて回った。

 すると、目撃者はお団子屋さんとそこのお姉さんだという事が分かった。

「唯花ちゃんがいなくなったんやってなあ。君らは大丈夫かい?」

「お団子屋さん! それより唯花を見たって本当?」

「車が来て危ないって唯花ちゃんとお兄さんに注意したのよ」

「そうですか」

「団子屋さんはお兄ちゃんが犯人だと思う?」

「いや~、あの子は良い子だし、そんな怖い事をしているとは思わないねぇ。君たちも気を付けるんやでぇ」

 お兄ちゃんと唯花が一緒にいたのは本当みたいだった。やっぱり犯人はお兄ちゃんで間違いない。


「結局、どうなんだろうねぇ」

「あのうわさは本当なのかな? あの、親同士でやりあってるって言うの……」

 帰る時に、そう話しているのが聞こえた。


 僕らが家に帰っていると、家に帰るお兄ちゃんと出くわした。

「聞いたよ! 唯花いなくなったんだって? その前に会ってたんだよ」

 僕らは、目を見合わせた。

「あ、僕は犯人じゃないよ? 唯花から、あの後颯太たちとケンカしたって聞いたよ。もう忘れた方が良いなんて言ってごめん。そんな事できないに決まってるのに。でもやっぱり、関わるのは危険だと思ったんだ」

「ううん。だよね……」

「おい、小学生! なんでお姉さんと一緒にいないんだよ!」


 本屋さんに、僕らが抜け出していた事がバレて、本屋の中に入れられた。

「君らがいなくなる事で、お姉さんが地域の人たちから怪しまれるんだぞ? 小学生のためにお姉さんはいろいろやってくれてるんだからな」

「お姉さん怪しまれちゃうの?」

「今回は、まだ大丈夫だ。でも、次はない」

 僕たちは、本屋さんに怒られた。でも、おかげで、あの気まずい場所から抜け出せたのかもしれない。


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