07.16. 06:21:31

 今現在の時刻、4:39。

 日が昇り、だんだんと外から伝わる光量が増えてきた。私は受講中の大学プログラムのレポート原稿を書き終えたところで、一安心して眠りにつく……はずだった。


 みなさん、今日はなんの日かご存知だろうか。そう、他でもない、カクヨム甲子園の応募受付が始まる日だ。きっと昼を超えたあたりには、数多の作品が『カクヨム甲子園』タグとともに投稿されるのだろう。


 そんな中で、私は焦りを抱いている。まだ私は一作品も書き上げていない。ストーリーの軸や登場人物の設定は決めてあるのに、執筆作業に着手することができない。というのも、必死の思いで作品を完成させたとしても、投稿すると同時に大量の優れた作品の海に溺れてしまうかもしれない――そう考えると、怖い。こわくてたまらない。


 ……本当はずっと前から気づいていた。私には文才がないのだと。自虐でも謙遜でもなく、私には文章を書く才能がない。能力すらない。


 カクヨムの、他のユーザーさんの作品を拝見する中でも思う。他の人の文章には個性がある。その人特有の言葉選びがあって、その人特有のものの感じ方や考え方がある。


 それが、私にはない。


 常々言うように私は『普通』が苦手で、生きづらさを感じながら日々生きている人間だ。そんな人間から出てくる言葉がいたって平凡なものなのだから、私は自分の経験を信じることができなくなるかもしれない。経験から得て学ぶことも、それに語彙が影響を受けることもないのだから。


 他者と比べるなと言われても、較べないようにしても、結局くらべてしまう。


 ただ、自分の文章や言葉を褒め称えられることは素直に嬉しかった。けれど、心のどこかで「気を遣われているんじゃないか」と考えてしまう自分がいて、それがまた嫌だった。


 努力するべきなのに、なにかと理由をつけて創作から逃げようとした自分を殴りたい。後悔してからじゃ遅いのに。私のカクヨム甲子園は、今年が最初で最後なのに。


 そんな自己嫌悪を抱きつつ、もうすぐ朝の5時を迎える。これを投稿した頃には、私はきっと嫌な眠りから目覚めているのだろう。そうであってほしい。



 マイペースにできるのが、きっと一番良いのだ。趣味ならば。しかし、今や私の中で創作活動は『趣味』では収まらなくなりつつある。


 もっと究めたいと思うようになった。

 もっと高みへとのぼりたいと思った。

 もっと色々な作品を書いて、私の見ている世界をだれかの心に映してほしいと思った。


 だから私は今日も書く。書こうと思う。

 手を伸ばした先にあるものが、幸運でなくとも。


 こわいなぁ、つらいなぁ、と思うけど。まだ私のメンタルは耐えてくれているから、耐えられているうちに走り抜ける。その後でぶっ壊れてもかまわない。この夏の挑戦を、私は無駄にはしたくない。







 拝啓 なにをやっても中途半端な私へ




 頑張れ!!!!!!!!!






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る