裏6項 1回目のループ


 ループ1回目は、思うようには行かなかった。


 ルーク様は優しくなった。

 重いものを持ってくれるし、無茶ぶりなお願いもされなくなった。裸で踊れとかも言われなくなったし。


 まだお尻は触ってくるけれど。



 だけれどね。


 貴方はまだ、死刑死刑いっている。


 まぁ、わたしの口だけ返事で、悪行をした気になってるからね。誰かが死んだりはしていないんだけれど……。


 わたしはルーク様といて楽しい。

 貴方も笑ってくれる。


 でもね、それは、わたしが夢見たニコニコとは違うんだ。貴方はもっと、大きな世界で笑うべきだ。


 わたし1人の笑顔だけで満足してはいけない。

 わたしが居ると、貴方はダメになる。


 何年か待ったけれど、貴方は変わらなかった。

 ここは、生前のわたしが楔になった未来にすら繋がっていない。

 

 だから、わたしは貴方の元を去るよ。

 他の人と結婚するとでもいえば、諦めてくれるのかな。


 ごめんね。

 ずっと一緒にいたいけれど。


  

 …………。

 ……。


 

 気付くと、わたしはまたあの神殿にいた。

 「女神さま。ごめんなさい。うまくできませんでした」


 何がいけなかったのかな。


 「あなたは何を望んでループしたのですか? 彼に重く大きな重荷を押し付けるためですか?」


 言われてもピンとこない。やはり分からないや。


 女神様は続ける。

 「勇者がクズ……ごほん。その心が闇に囚われていては困りますが、彼の幸せは彼のためにあるのです。……まぁ、彼に甘えたり、甘えられたり。せっかく生まれ変われるのです。二回目特典です。オマケを差し上げましょう。素直になれないあなたに『毒舌』を授けます。次は2人の時間を楽しんでね」


 あれっ。最後の方、女神様の口調が変わったような。


 それに「毒舌」って、一般的に欠点なのでは……?

 どうせなら、率直とか実直とかの方が有難いんですが。


 授けますって、一方的だし。

 女神さまー。わたし、これいりませんー。

 返品でお願いしまーす。


 って、女神様は聞いてないね。


 そしてまたわたしの意識は暗転する。



★今回のお話しの表側★

「第6項 ループ一周目のゴミカス」

https://kakuyomu.jp/works/16818093075519809159/episodes/16818093075520449806

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