第32話 無茶して良かった
僕は暫く寝た振りをしていたんだけど、2人は僕の寝息を確かめていた。
息遣いから顔が近いっす。
でも僕は別のことを考えるようにして寝た振りを続行・・・zzzZZZzZZZzz
僕は心地よく幸せな感覚というか感触で目を覚ました。
朝の光が部屋を優しく照らし、静かな安堵の息遣いが聞こえる。
ミンディーとメリッサの2人は眠っているけど、僕の腕にしがみついていた。
彼女たちの顔は、夢の中でも安心を見つけたかのように穏やかだった。
しかし、この状況に僕の心臓は急激に早鐘を鳴らし始めた。
「ありがとう、バン様・・・ 怖かったの・・・」
メリッサの寝言が静寂を破った。
僕は微笑みながら彼女たちの頭を優しく撫でたかったけど、残念ながら僕の両腕は彼女たちに掴まれ、幸せな感触に覆われているので出来なかった。
『大丈夫だよ、もう安全だから。僕が責任を持って君たちを守るから』
僕は心の中で囁いた。
面と向かってこんな臭い台詞がペラペラと出れば良いんだけど、あいにく僕は女性慣れしていない。
彼女たちを救ったことに心からの満足を感じた。
確かな温もりもある。
女性特有の柔らかさにドキドキし、ほのかに髪か漂う良い香りが鼻腔をくすぐる。
しかし、僕はこれからの道のりが容易ではないことを知っていた。彼女たちを守るためには、僕自身も強くならなければならない。
しかし、少し時間は早いかな?2人を起こすのも可哀想だしもう暫く2人の温もりを堪能しよう・・・ぐがぁぁ、ぐごぉぉ・・・
【メリッサ視点】
目を覚ましてみれば、私はバン様の布団に潜り込んでおりましたわ。窓から差し込む朝日が、部屋を優しく照らしています。
私は貴族の令嬢として育ち、何不自由ない生活を送っていたのですが、父が行っていた事業の失敗により、まさかの遊女としての人生を歩むことになってしまったのです。
しかし、その運命の前日、バン様に救われたのですわ。
今日は私の誕生日。新しい1年の始まりであり、新しい人生の始まりでもありますの。バン様の隣で目覚めることができて、私は心から感謝しておりますわ。彼の腕にしがみつきながら、私はこれまでの恐怖と不安から解放された安堵感を味わっていたのですわ。
ミンディーも同じように、バン様のもう一方の腕にしがみついて眠っておりますわ。彼女の安心した表情を見て、私は新しい家族を得たような温かい気持ちに包まれましたわ。私たちはここにいていいのですわね!?私は、もう1人ではないのですわ。
バン様がまだ深い眠りについている間に、私はそっと布団から抜け出し、窓から差し込む光を浴びながら、新しい1日が始まったことを実感しましたわ。
お疲れなのかしら?盛大ないびきが可愛いですわ。
よくもまあミンディーは起きませんこと。私はこのいびきで目が覚めたのですわね。
娼館でねぇさまがこういう時は鼻を少し摘まむと良いと仰っていましたが・・・あっ!本当だったのですわ!静かになりましたわ!
とてもではないですが、人に語れないような恥ずかしいことを娼館で教えられましたが、これだけは良いことを教えてくれたと感謝しなければなりませんね。
今日は、バン様が私たちのために新しい装備を選んでくださり、明日から冒険者としての第一歩を踏み出す日ですわ。
私は心の中で固く誓いましたの。
バン様が私たちを守ってくださるように、私も彼を守りますわ。
私たち3人で、どんな困難も乗り越えていくのですわ。
そして・・・私たちの絆は、これからもっと強くなるのですわ。
でも、確かダンジョンはこの人数では厳しいと聞きます。バン様はどのようにするおつもりなのかしら?私は他の男の人が怖いです。出来れば新たに仲間を増やすなら、その、女性が良いですわ。
【メリッサ視点終わり】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます