第72話 人間は(エロい事ばかり)考える葦である


 文化祭の読み合わせが終わった海山と俺は、高校から出て駄菓子屋へ向かう。


 こうやって海山と二人きりになるのは、以前の放課後デートで駄菓子屋へ行った時以来だ。

 ここ最近は優里亜や黒木も交えて3人、4人で行動することもあり、なかなか二人きりで話せなかったから久しぶりな感じがする。


「諒太! とにかく元気出しなって!」


 まだ俺が落ち込んでいるのだと思い込んでいる海山は、道中ずっと励ましの言葉をかけてくれる。

 海山の気持ちは嬉しいが……俺は別に落ち込んでない。

 俺って、普通にしていても落ち込んでいるように見えてしまうのだろうか?


「わたしはねっ、諒太の棒読——じゃなくて! 読み方! 結構いいと思ったよ! ぽーっとしてる感じで聞きやすいっていうか。ほら、小学校の国語の授業でやる朗読みたいな!」


 海山は必死に俺を励ましてくれようとしているが、明らかに地雷を踏みまくっている。


(それだと励ますどころか、小学生の朗読レベルと言ってるもんだぞ海山ぁ……)


 棒読みの件ついては気にしていなかった俺だが、海山にそこまで気にされると逆に落ち込みそうになる。


「はぁ……」

「え、えとえと〜」


 俺がため息を吐いたら、海山は困った様子で手をわちゃわちゃさせる。


「あ、愛莉ね! 諒太が元気出るならするよ! 駄菓子とかもたくさん奢ってあげるし!」

「え? な、何でも……?」


 それを聞き、刹那的に海山の爆乳デカパイへ視線が行く俺。


(い、いかんいかん。いくら何でもと言っても、それは流石に……)


 海山みたいな純粋無垢な女子に向かって、平気で「オパーイ揉ませてクレメンス」とか言ったら、社会的に抹殺されるし、それが優里亜と黒木に知られたら間違いなく●されそうだ。


(じゃ、じゃあ……ここはある程度の倫理観を持った上で、海山にのはどうだろう?)


 俺はとある理由で、どうしても海山に膝枕をしてもらいたいと思っていた。

 そう——あれは昨日俺が寝る前のこと。


 俺がベッドの上でソシャゲをしながらウトウトしていると……。


『田中:見てください諒太くん! こーれ、マジで凄いですよ!』


 という内容のlimeが田中から送られて来て、さらに田中は海山に膝枕してもらっている時に撮影したが映った写真が送って来たのだ。

 

 膝枕のアングルから撮影された海山の下乳の大きさは、あまりにも「デカすぎんだろ」と思わせるほどのたわわな乳影ちちかげを作っており、下から見上げている田中のアングルからでは海山本人の顔はほぼ見えない。


『田中:愛莉の爆乳、上から見るか?下から見るか?大ヒット上映中』

『諒太:黙れ』


 ——といったこともあり、俺は昨日、不覚にも田中に爆乳マウントを取られてしまった。


 俺だって海山の爆乳を下から見たい。

 あわよくば太ももと爆乳でサンドされて逝きたい。


「あのさ、海山」

「……?」

「その、何でもお願いできるってことなら、えっと……ひ、膝枕を……して」

「膝枕をして? あっ、もしかして!!」


 海山は何かを察したように合点と相槌を打つ。

 よ、よし! 俺から言わなくても、海山は気づいてくれ——。


「諒太、膝枕の!?」


「は……はあ?」

「いやぁ昨日さ、奏ちゃんがね? 『うほぉ、膝枕サイコー』って言ってたから、愛莉も誰かに膝枕して欲しいなって思ってたんだー!」


 そ、それは違う! 絶対そういう意味じゃない!

 田中が言っていたのは『うほぉ、(愛莉たんの爆乳を下から覗ける)膝枕サイコー』だ!


「じゃあさじゃあさ! 駄菓子屋のベンチで膝枕してもらってもいい?」

「や、やだよ。恥ずかしいし」

「いいじゃーん! あそこはほとんど人通らないし! もしダメって言うなら今日のデートはもうお終いかなー?」

「なっ!」


 海山め……黒木みたいな駆け引きを持ち込みやがって。絶妙に賢くなってやがる。

 俺は膝枕をして欲しかったんだが……致し方ないか。


「わ、分かった……でも膝枕なんてそんな良いものじゃないぞ?」

「いいのっ! やってみたいんだもん!」


 ったく、好奇心(と胸)だけはあるんだよなぁ……。

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