泣き虫の葵と、泣き虫の三姉妹

第6話 解かれた絆

地下室の灯りのもと、葵と三姉妹の夜の会話は深まる一方であった。今夜は特別な夜、三姉妹が自らの過去、それぞれが抱える悲しい物語を語る番である。

楓が最初に口を開いた。彼女の話は、彼女たちが幼いころに住んでいた古い家と、そこでの幸せな日々から始まった。しかし、幸せは長くは続かなかった。ある嵐の夜、事故が起こり、突然彼女たちはこの世を去ることとなった。「私たちの人生はあまりにも早く終わりを告げた。それが、私たちの霊がこの場所に留まる理由なの」と楓は静かに語り、その目には遠い日の悲しみが宿っていた。

次に皐が話し始めた。彼女は楓と凛を守る役割を自らに課していたが、事故の夜、彼女はそれができなかったという無力感に苛まれていた。「私はいつも彼女たちのお姉さんでいることが自分の役割だと思っていた。でも、最後には何も守れなかった」と、皐は淡々としているが、その声にはわずかに震えがあった。

最後に凛が静かに話し始める。彼女は最も若く、事故の記憶がほかの二人よりも曖昧だった。「私には、その夜のことがあまり覚えていない。ただ、永遠に続く暗闇と、姉たちの声が聞こえることが怖かった」と凛は言った。彼女の話は、恐怖と不安で満ちており、その小さな体が震えていた。

三姉妹の話を聞いた葵は、深く感動し、彼女たちの苦しみを少しでも和らげたいと願った。「君たちの話を聞いて、僕にできることがあれば何でもするよ。君たちが平和を見つけることが、僕の願いだ」と葵は優しく言い、その手を差し伸べた。

その夜、彼らは過去の鎖を解き放ち、お互いを深く理解することで新たな絆を築き始めた。物語は、彼らがこれからどう前進していくかを見守る段階に入っていた。三姉妹の悲しい過去が明らかになったことで、彼らの心の傷は癒され、彼らの霊がついに安らぎを見つける日も遠くないかもしれないと葵は感じていた。