第39話
「ん…あ、もしかして、猫宮くん?」
「あっ、えっと…3組の子だよね」
「私、都。
「竜宮寺さんね、わかった!僕は猫宮扇。ねえ、今どうなってるか分かる?」
「ううん、私には分からない…。けど、猫宮くんは?」
「全然。本当に全然。」
「そっか…、分かった。」
「ね、竜宮寺さん。一緒に行動しない?危険だし」
「…猫宮くんが、いいのなら」
藤色の瞳をした少女、
3組の竜宮寺都さん。
あんまり関わりはないけど、
こんな状況だし、一緒にいたほうがお互い安全だろうな。
「猫宮、くん。これ、見てもらえる?」
「え?」
振り返って、竜宮寺さんのほうを見る。
すると、竜宮寺さんが持っていた青の宝石が目に入った。
酷く美しく、キレイに輝く宝石。
不思議と何秒かみとれてしまった。
「これね、私が貰わされたものなの。従兄弟の…赤松さんっていうんだけれど」
「赤松さん…?」
「そう。その人たちが言うには、この宝石、神が宿っているみたいなの」
「か、神様が…?!」
「そ。これを猫宮くんにプレゼント。」
「うわあっ!投げちゃだめでしょ?!」
「君のお友達に、黒に青と赤のメッシュが入った子がいるでしょ。その子に渡してあげて」
「た、確かにいるけど…なんで知って」
「いいから。じゃあ、ごめんけど私はこれで」
そう言い、ふっと消えてしまった竜宮寺さん。
そして、自分の手の中にある、ネックレスに繋がれた宝石を見て。
「なんでだ…」
***
「退魔之札___発動。ここらの怪異を眠らせて」
「退魔之札___発動。ここ一帯の怪異を眠らせて」
退魔之札を乱用してでも、この学校中に広まっている怪異を眠らせる。
はやくに事態解決へと導かなければ。
「はぁ…はっぁ…。一応、このあたりは全員やったかな」
「あっ、ねここちゃん?!良かったぁ…死んだと思ってた」
赤毛で毛量の多い髪を二つ結びで上手くまとめた、
丸眼鏡をした女子、
他クラスにいる唯一仲のいい人で、
今も連絡を結構とっている。
「ねえ、ねここちゃん。何が起こってんの?これ…」
「いやあ、私にもさっぱり…。大分前からこんな感じ?」
「そうだねえ、大体…1時間前くらい?に___」
話を聞いてみると、どうやら1時間前ほどに、
杏ちゃんのクラスの先生の様子が突然おかしくなったらしく、
そのあと段々クラスの皆もおかしくなっていって今、という感じらしい。
「というか…暗いね。夜みたい」
「おかしいよね。今12時くらいなはずなのに…」
「…」
「ね、これってやっぱり怪異関わってるよね?!よね?!」
「多分ね…そうだと思うけど」
「だよねーっっ!!面倒だーっっ!!」
そう。
杏ちゃんは、『人外仲間』なのだ。
杏ちゃん自身も妖怪であり、人間である半端者。
…と言っても、最初からそうだったみたいだけど。
半妖怪半人間の妖怪らしい…、頭がこんがらがりそう。
「まあそりゃあ人外間では『掃除屋』としてまかり通ってるけども…」
「あ、名前もそれに合わせてるの?」
「うん。杏は可愛いからだけど、名字はね。」
奏上谷なんて珍しい名前だと思ってたけど、
そういう意味だったんだ。
「いやさー、私も最近忙しーわけよ。で、お腹いっぱいなんだけどもね」
「というか食べられるの?今んところ何が親玉か分かってないけど」
「そうなんだよぉ…それが一番面倒。」
「いちいち食べなきゃだもんね」
「うん。スライム系とかは本当に味が無理すぎるからね」
「無理すぎるんだ…」
「___ま、かかってきてほしいね、私の胃袋、舐めないでよ?」
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