対面する姫君

魔王。


それは、全ての魔族の頂点に立つ存在にして、人類の敵。


その力は強大で、魔王に対抗できるのは勇者だけなのだとか。


まぁ、その話は置いておくとして.....


「ほぅ?まさか貴様がこの騒動の犯人だったとはな」


今の私は、魔王と対峙していました。


「えぇ、あなたと会うためにここまで来ましたの」


目の前にいる魔王は、立派な二本のツノを持っていて


「そのためにドラドに白旗を上げさせたのか」


私に向けて、ふんぞり返った様子でそう言った。


「魔王様の元に行かせないと言ったので、仕方なく」

「仕方なくで、剣に【マジックイーター】を付与する奴がいるか?」


ため息を吐きながら、ドラドさんがそう言うと


「......何?」


その言葉を聞いた魔王は、ピクリと反応するのだった。


「お前......剣だけではなく、魔法も扱えるのか」

「えぇ、と言っても.....付与魔法とか、一部の魔法しか使えないんですけどね」


ニッと笑いながら、そう言う私。


「...魔王様、この女はあなたの軍門に降りたいがために、わざと捕まったとか」

「.......は?」


ドラドさんの言葉に対し、思わず、そう声を漏らす魔王様。

しかし、すぐに笑い始めたかと思いきや


「ククク.....ハハハハハ!!我に軍門に降りたいだと!!そんな面白いことを言う人間がいたとは......驚きだ!!」


私に対し、そう言うのだった。


「お前があっさりと捕まった理由は分かったが.....何故、我が軍門に降りたいと思ったのだ?」


軍門に降りたい理由......ですか。


「私は.....幼い頃から、剣が好きで好きで仕方なかったんです。ですが..........」

「周囲の人間が、それを認めなかったと?」


魔王の言葉に対し、コクリと頷く私。


「私、人間の姫君でいることに疲れたんです。ただ何もせずに、笑っているだけの姫君なんて、つまらないでしょう?」


私がそう言うと、魔王様は


「確かにな」


同調するように、そう言った。


「ですから、私は魔王軍に降りたいと思ったのです」


自分が王女という理由で、剣に触れさせてもらえない。


自分が王女という理由で、強制的に勇者と結婚させられる。


そんな人生、まっぴらごめんですわ!!


「お前......中々根性があるな」

「ありがとうございます」


魔王様の言葉に対し、ペコリと頭を下げながら、そう言う私。


「.....やはり、お前を勇者の花嫁にするのは惜しいな」

「.......魔王様?」

「よし!!お前の望み通り、魔王軍の一員として認めてやろう!!」


ニカッと笑いながら、そう言う魔王様。


その言葉を聞いた瞬間、私の顔に笑みが溢れたのは、言うまでもない。

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