第22話 2024/08/04 トレーニング
なんだかんだ言って、合気道道場にも少林寺拳法道場にも私立体育館のジムにも行かない私だが、決して怠けている訳ではない。実際、仕事と介護で忙しい毎日を送っている。朝早くから働き、帰宅すれば介護が待っている。そんな日々の中で、自分の体を鍛える時間を見つけるのは容易ではない。
私には幼い頃からのトラウマがある。体が細いことを散々バカにされ、その度に自尊心が傷ついた。また、ケンカも弱かった。そのため、トレーニングをして筋肉をつけることは、私にとって必須事項だ。弱いとケンカに負けるし、何より怖がりの私はケンカに勝てないというのが本当に恐怖だ。合気道と少林寺をやったのは、もう30年も前で、気が弱くなっている。精神衛生上良くない。だからこそ、強くなる必要があると自分に言い聞かせている。
今は真夏で、外に出るのは嫌なので、エアコンの効いた自室で自重トレーニングをしている。自室は狭く、古びた家具とベッドが占領しており、スペースがあまりないが、私にとっては心地よい場所だ。私は、もう57歳なので今からコンテストに出るような筋肉を作ることは無理だ。無理をして筋肉を作る過程で怪我をしてしまうだろう。そこは、もう諦めている。
ある日、仕事が終わって帰宅すると、母がベッドで眠っているのを見て、ほっと一息ついた。介護は大変だが、母の笑顔を見ると、その苦労も報われる気がする。静かな夜、自室でマットを敷き、プランクを始める。汗がじんわりと額に滲むが、冷たいエアコンの風が心地よい。毎日少しずつ時間を延ばしていくことで、少しずつ自分が強くなっていくのを感じる。
「これで少しは強くなれるかな」と心の中で呟く。トレーニングを続けることで、体力がついてきたのを実感する。朝起きると、以前よりも体が軽く感じられる。階段を登るのも楽になった。家族や友人からも「最近、元気そうだね」と言われるようになった。
トレーニングが習慣化する中で、ある日、不意に昔の友人から連絡があった。久しぶりに会おうという誘いだった。外出するのは億劫だったが、勇気を振り絞って出かけることにした。カフェで再会した友人は、私の変わりように驚いていた。「昔の君とは別人みたいだ」と笑いながら言われ、その言葉が嬉しかった。
再会の後、帰宅すると母が笑顔で迎えてくれた。「今日は楽しかった?」と尋ねられ、私は素直に「ああ、楽しかったよ」と答えた。母の笑顔を見て、これからも自分を磨いていこうと心に決めた。年齢を重ねても、自分を変えることはできる。それが私の新しい目標となった。
そうして、私は今日もまたエアコンの効いた自室でトレーニングを続ける。過去のトラウマから解放され、自分自身を強くするために。そして、家族と共に幸せな時間を過ごすために。未来はまだ明るい。私はそう信じている。なお、トレーニング結果は、私の毎日小説に書き記そうと思っている。また忘れるかもしれんけど(^-^;
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