月が綺麗だね
月に一度、満月の夜。私は缶ジュースを持ってベランダに出る。
缶ジュースを開けると一口飲み、手すりに左手をつくと夜空を見上げた。
ーーガラガラガラ
来た。
隣の部屋のベランダの窓が開く音がする。
出てきたのは缶ビールを持ち、お風呂上がりなのか少し湿った髪にスウェット姿のお隣の彼。
満月の夜に必ずベランダに出て夜空を見上げている。
「こんばんは」
私は少し身を乗りだし隣の彼に挨拶をする。
「こんばんは、美月ちゃん」
いつもと同じようにふわりと笑う彼に、私は火照った顔を見られないよう夜空を見上げる。
彼も缶を開け一口飲むと手すりに左手をついて夜空を見上げる。
そして私の方をチラッと見るといつもの言葉を囁く。
「月が、綺麗だね」
そして私はいつものように相づちをうつ。
「そうですね」
私たちはいつものように夜空を見上げる。
今日は、雲に隠れて月は見えていないのに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます