僕を受け入れて

ーードンッ


 私の部屋、私のベッドに押し倒され、私の顔の横に両手をついている幼なじみを見上げる。


「楓?」


「なんで、部屋に入れたの?」


「なんでって……いつも入ってるじゃん」


「高校卒業したら経験してみたいって言ってた」


 その言葉には少し語弊がある。

 周りがどんどん初体験を済ませていく中、私は高校卒業するまでそういうのはいいかな、と言っただけだ。

 決して卒業したらしたいと言った訳ではない。


 そして今日、卒業式の後いつものように私の部屋に来ただけなのに。


「佳奈ちゃんは僕が相手じゃいや?」


「いや……とかそういうのじゃなくて……」


「僕はずっと我慢してた。ずっと、待ってた。」


 楓の手が頬に触れる。ゆっくりと顔が近づいてくる。


 私は伏し目がちに、でも目を閉じることなくその唇を感じる。


「佳奈ちゃん、僕を受け入れて」


 私は何も言わずただ楓の目をじっと見て小さく頷く。

 少し緊張している、私の反応を伺うような不安そうな顔、恐る恐る下りてくる手に私は拒むことなんてできないのだから。


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