管理人の実力・3
「……は? 馬鹿じゃねぇのかお前!」
ビンは一瞬停止したが、ドアが開いたのでそのまま外に逃げようとする。
「戻れ! ビン!」とリタが叫ぶも、時は既に遅し。
「トゥーイ!」
ケイギが右手を開き、そう声を発すると、ビンは、その右手にみるみる引き寄せられていく。
(吸い込まれている……!?)
雄大は目を見開いた。
「何だよ、これ……磁石かよ!」
ビンの後頭部は、やがてケイギの右手に貼り付いた。
「その通りです。これは磁力魔法ですよ」
ビンはジタバタと抵抗するが、どうやっても外れない。異世界者らは、不安そうにこの光景をただ見つめていた。
「あなたは、屈強な兵士が帰って貧相な男が1人になったので、逃げられると思ったのでしょう。だけど⋯⋯無駄ですよ」
ケイギは左手を上に向けて「アストゥル」と唱えた。燃え盛る大きな火柱が立った。
ビンが「うわあ!!」と声を上げる。
(今度は火かよ……)
次から次へと見せつけられる怪現象に、雄大の頭はついていけない。
ケイギは火柱の立った左手を、ビンの横っ面ギリギリまで近づける。
「ビン!」
リタは、ケイギに向かって駆けた。
「ドムズ!」
ケイギがリタにそう発した。彼女の足取りが急に重くなり、体勢を崩し、地面にうつ伏せで倒れこむ。
「く……クソっ……!!」
(押さつけられている…!?)
雄大の毛穴がカッと開き、一気に鳥肌が立った。嫌な汗が脇に滲んだ。
「これは重力魔法の『ドムズ』です。お嬢さん、寝心地はどうでしょうか?」
「良いわけ……ねぇだろ……」
リタは、意地でも首を上げながら、ケイギを睨みつけた。
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