第4章94話:開花した能力
やがて光が収まる。
力の開花が終わったようである。
「気分はどうだ?」
と俺は尋ねた。
すると。
「我は……」
とノルドゥーラはつぶやいた。
「我は、人間になれる」
次の瞬間。
ノルドゥーラの全身が、光りかがやく。
さきほどのような陽炎めいた光ではなく、全身が白く発光するような光だ。
そして、ノルドゥーラの身体がだんだんと縮こまっていく。
竜の姿から、人型へと変わっていく。
やがて発光は収まったときには、そこに竜の姿はなく、一人の女が立っていた。
身長160センチ。
豊満な胸。
白銀の髪。
銀色の瞳。
どことなく神聖さがありつつも、全体としてはラフなデザインの
へそを丸出しにしたセパレートタイプの装束だ。
編み上げサンダルを履いている。
「おお……やはり変身できたぞ!」
と自分の腕や身体を見ながら、ノルドゥーラがはしゃいだ。
(
と俺は納得する。
俺は告げた。
「
「人型化……」
「いまのように、人の姿に変身するスキルを得られる竜玉だ。これでお前はいつでも、その姿にへんげできる」
「なんと」
ノルドゥーラは感激に打ち震えていた。
彼女は告げた。
「竜玉とは、まことに不思議なアイテムじゃな。こんな
「そうだ。集めれば集めるほど、お前は多彩な力を得て、強くなれる。できることが増えていく」
「むむむ……素晴らしい!」
とノルドゥーラが感動をあらわにした。
俺は言った。
「その肉体で、できることを試してみろ。飛んだり跳ねたり走ったり……身体の操作方法を確認しておけ」
「わかった」
ノルドゥーラが走り出す。
跳ねる。
ジャンプする。
凄まじく高く跳んだ。
やがて着地してくる。
そのあと、近くにあった樹木を蹴りつけた。
樹木がへし折れて倒れる。
「肉体の操作は問題なくできるようだな」
と俺は言った。
むしろノルドゥーラは、そのへんの人間よりも身のこなしに
驚くほど柔軟性が高く、しなるキックを放ったり、綺麗にバク宙をしたり……自由自在だ。
「それに身体能力も高い。
と俺は微笑んだ。
「これを使ってみろ」
俺はアイテムボックスから、とある武器を取り出した。
精霊ネアが使用していた槍である。
「
「ああ、先日見せてもらった槍じゃな。それを我に使えと?」
「人間の肉体を手に入れた今なら使えるだろう?」
と俺は言いつつ、ノルドゥーラに霊槍ネリスヴォルンを手渡した。
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