弟は戦争に行った(詩集)
武蔵野純平@蛮族転生!コミカライズ
第1話 弟は戦争に行った(詞)
俺の弟は戦争に行った
俺の弟は戦争に行った
弟は頭が良くて、愛嬌があって、自慢の弟だった
俺は弟に金を出し、大学に通わせた
弟は学校の先生になった
弟は毎日学校へ行く
子供たちに数学を教える
子供たちに国語を教える
幸せな毎日だった
ある日、弟に手紙が届いた
軍からの手紙だった
弟は戦争に行った
弟の戦場はジャングルだった
蒸し暑くて、蚊が沢山いるジャングルだった
食べる物はない
薬もない
銃の弾もない
弟は戦争に行った
弟が帰ってきた
白木の箱に入って弟が帰ってきた
箱の中は空っぽだった
骨も遺髪もない
弟は戦争に行った
弟の生徒たちがやって来た
弟の写真に祈りを捧げている
素敵な先生だったねと
弟の思い出を話している
弟は戦争に行った
俺は今日も仕事に行く
俺は今日も家に帰る
平和で幸せな日々が続く
けれど弟はいない
弟は戦争に行った
弟は戦争に行った
◆―― 作者より ――◆
私の祖父の弟――大叔父は先の大戦で出征しました。
ビルマで戦死をしたそうです。
祖父は大叔父に大変期待をしていて、師範学校に通わせたそうです。
戦死した時は、とても悲しんだと聞いています。
この詞は、祖父の気持ちと視点で、戦死した大叔父を描きました。
生きていて欲しかったなと思います。
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