二人称小説
二人称小説っていうものを書いてみたくて書いてみた。
𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃
【マルシェの日】
今日は待ちに待ったマルシェの日。
春と秋の年に二度、近所の広場にテントが並んでハンドメイド作品が売られる日だ。
キミは小学六年生。今年はお年玉もたくさんだった。かわいいお財布を買ったから、お年玉はずいぶん減ってしまったけれど、マルシェでくらいならまだまだお買い物できそう。
さて、お目当てのお店はあるかな? キミのお目当ての品は前回の秋の開催でお金が足りなくて買えなかったもの。お年玉を携えた今回は絶対に手に入れたい。
入口を抜けるとキミはまずフルーツ飴のお店に目がいく。甘い、いい香りがしたからね。リンゴにブドウ、イチゴにミカン。つやつやに飴がかかったフルーツはどれも宝石みたい。ヨダレをごくりと飲み込んだ。
フルーツ飴は五百円。キミは迷う。今すぐ買う? だけどまだ入口だし。マルシェはこれから。お金が足りなくなっても困る。
とても迷ったけど、結局は後回しにした。キミのお目当てはこのフルーツ飴じゃないからね。
さてさて。その『お目当て』はどこなんだろう? キミはマルシェを見渡す。ふむふむ。キラキラアクセサリーのお店、木工細工のお店、陶芸作品のお店……あ。
見つけた。あのパステルカラー。キミは嬉しくなって駆け出した。
「あれ?」
突然気づいた。「ちがうかも」
似ていただけで、ちがうお店だったみたい。キミはガッカリする。もしかして目当てのお店は今回は出店していないのかも。そんな気がしてきた。
……いや。もう少し探してみよう。
マルシェはまだ半分見たくらい。だからまだそのお店があるかないかはわからない。
「あれー? ゆっちゃん?」
突然声を掛けられてキミは驚く。「わ。びっくり」同じクラスのわかなちゃんだ。
「わかなちゃんも来てたんだ!」
言いつつキミはその手に持たれた紙袋に注目する。「その袋……」
「そこの角のお店。ちょい高かったんだけど、めちゃカワでひとつだけ買っちゃった!」
「え、なに買ったの!?」
差し出された紙袋を、キミはそっと覗く。
「あああっ、コレっ……!」
「かわいいでしょ? 一目惚れした」
幸せそうに笑って紙袋を閉じると「じゃあね!」と手を挙げてわかなちゃんは去って行った。
キミはその場に立ち尽くす。
その気持ちは『悔しい』とは微妙にちがう。だけど『敗北感』というほどハッキリしているわけでもない。とにかくなんとも言い表せられなくて、キミは「んんんんん」と低く唸った。
ともあれキミの『目当て』は、もうこのマルシェにはないことだけはハッキリしていた。
やがてイチゴ飴をかじりながら青空を見つめてキミはポツリとつぶやく。
「いいなぁ、わかなちゃん」
おわり。
𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃
なんというか。
やっぱりゲームしてる感覚が近いかな。
これは長いものは書けませんねー
感覚が掴めない。
参考にしたってわけではないですがゲームのオクトパストラベラーのキャラ紹介のページが二人称で書かれています。みてみて。
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