伝説を叩き売る少女!

冬野こおろぎ

第1話 聖剣ゼクスカリバーを叩き売る少女!

「よってらっしゃい見てらっしゃい! 

 あの伝説のマーサー王が振るった聖剣ゼクスカリバーがここに参上や! 誰もが知る聖剣を、なんと1000ディール! たった1000ディールでご奉仕するで! こんな大安値、他では絶対実現でけへんで!」


 人が行き交う大通りにて、赤い頭巾を被った少女が、この辺りでは聞き馴染みの無いなまり口調で、景気よく売り口上を並べ立てていた。


 年齢は10歳ぐらいだろう。頭巾に隠れた髪は金色に輝いており、目はクリっとしていて愛らしく、表情豊かで天真爛漫。やがては、誰もが振り向く美女に成長するのではなかろうかと思わせる、太陽のような美少女である。


 しかし、俺が彼女の前で足を止めたのは、その美しさに惹かれて……ではない。


 誰もが知る伝説のあの「聖剣ゼクスカリバー」を、「1000ディール」で売るとのたまう、昼間っから酒に酔っているのかと疑いたくなるキテレツな売り文句と、少女の目の前にある、地面に突き刺さった剣が気になったからである。



 アルセイム国に属する大都市オルメディアは、平野かつ海に面した土地柄で、古くから他国との交易拠点として栄えてきた街。と同時に、世界の秘境の探索や、魔物の討伐を始めとした仕事を請け負う者達、いわゆる冒険者が集う街としても有名だ。

 世界各地に支部を持つ冒険者ギルドもこの都市に本部を置いているために、冒険者の多くは、一度はオルメディアを訪れることになるだろう。

 オルメディアを拠点とするクランも100じゃ聞かないと言われているし、俺のようにクランに所属せず活動している者を含めると、その総数はどれほどになるかも分からない。


 冒険者が多く集うがゆえに、オルメディアでは武器や防具、探索用品に対する需要が常に高まった状態だ。遠方から行商にやってくる者も多く、今、俺が歩いている大通り、通称「商人の川」では、あらゆる国からやって来た商人達が、仕入れた品を売り捌かんと客引きに精を出していた。


 若い頃に冒険者として活躍していた俺の親父は、以前こう口にしていた。


「昔は、オルメディアの『商人の川』で買い物が出来る冒険者は、周りから何かと重宝されたもんさ。もちろん、ただ物を買ってくるって意味じゃあないぞ。商品の価値をしっかりと見極めた上で、商人の口車に乗せられること無く値切り交渉をしかけ、狙った品を限りなく安く手に入れる、そういったことを当たり前のように出来る調達の名人のことを指しているわけだな。そのような冒険者は周りから『泳ぎ上手』と呼ばれてな、あちらこちらから引っ張りだこだったんだぞ……ん、父さんか? 父さんももちろん、泳ぎ上手だったさ。それどころか、冒険者仲間からは『泳ぎの名手』なんて呼ばれることもあったなあ。ま、今となっては昔話だが。アレンも、いっぱしの冒険者を目指すのなら、剣の腕を磨くのも大事だが、買い物の腕の方も磨いとかねえとな!」


 俺が一介の剣士として冒険者稼業に足を突っ込んでから、はや五年。それなりの数の依頼を受注して、それなりの魔物を討伐し、またそれなりの報酬を得てきた。二十五歳になってようやく、冒険者として一人前と認められる「五等級」へ昇格するに至ったが、買い物に関しては、泳ぎ上手どころかようやく平泳ぎを覚えた程度、といったところだろうか。


「聖剣ゼクスカリバーって、マーサー王伝説に出てくる、あの剣のことだよね?」


 俺が少女に話しかけたのは、ひとえに興味本位からである。


 彼女は俺に顔を向けると、「おおっ! お客さん第一号やな。いらっしゃいまし!」と笑顔を振りまいた。 


「ムフフ、その通りやでオニーサン。宴席の騎士を率いしマーサー王と運命を共にした聖剣が、なんと驚愕の1000ディール。銀貨一枚の大盤振る舞いやっ! どんなケチンボでも買う運命を避けることが出来ひん激安価格やで!」

「ふーん……で、なんで商品を地面に刺しているの?」

「そりゃあ演出のためや。ゼクスカリバーって聞けば、誰しもが石に突き刺さった状態を想像するもんやろ? やからこうして、名刺代わりに地面にぶっ刺しとるっちゅうわけや」


 マーサー王のことは、子供の頃に「マーサー王と宴席の騎士」という名の絵本を読み、ある程度なら知っている。岩に刺さった聖剣を引き抜き、王として認められたとされる実在の人物だ。


 絵本では、宴席の騎士団を従える美丈夫のマーサー王が、生涯にわたって大冒険を繰り広げる様が描かれていた。他国との戦争に巻き込まれたり、凶悪なドラゴンを退治したり、王の道を約束されるという伝説の聖なる茶碗、いわゆる「聖碗」を追い求めたりと、様々に冒険を繰り広げるという筋書きである。


 絵本の中のマーサー王が携えていた聖剣ゼクスカリバーは、とにかく派手な見た目だった。黄金色に輝く柄、振れば白銀の軌跡を描く流麗な剣身、火を吹く竜があしら

われた鞘、あとはそう、柄頭には蒼い宝玉が付けられていた。


 マーサー王が、魔物に対してその剣を振るうたび、子供心にドキドキワクワクしたのを覚えている。やはり、ヒーローが持つ剣は格好よくなければならない。


 しかし……。


「これが、ゼクスカリバーねえ……」


 物語に登場した物と比べると、俺の前にある剣はなんだかこう、パッとしない。

 宝玉はおろか、何の装飾も施されていないのだ。握りに、擦り切れが目立つ滑り止めの布が巻かれているだけであり、それが何とも言えない古色を醸し出している。


 要するに、味も素っ気もない、十字型のただの剣だ。


 しかし、剣身は錆び一つ無く、太陽の光を受け、曇りのない白銀色に輝いている。  

さぞかし良く斬れるのだろうと思う。


 ただ……。


「聖剣というには地味過ぎない? 俺の持つイメージとずいぶんかけ離れているのだが」

「オニーサンの想像する聖剣って、おとぎ話に出てくるキラキラしたヤツやろ? ウチもマーサー王伝説の絵本を読んだことあるけどな、あれに出てくる聖剣は、宝石やら黄金やらがくっつき過ぎて、なんかゴテゴテしすぎちゃう? 男の子はああいうのに憧れるもんかもしれんけど、チョイと夢詰め込み過ぎやと思うで」


 あの絵本に描かれていた聖剣は、機能性よりも見た目重視のデザインであり、大人になった今にして思えば、演出過剰ぎみであったかもしれない。

 しかし、この剣はいくら何でも地味に過ぎる。ゼクスカリバーの名を借りるのであれば、少しでもそれらしい装飾を施して欲しいものだ。


 そんな俺の心の内を知るよしもない少女は、腰に手を当て、大きく胸を張った。


「おとぎ話に出てくるモンを想像するとガッカリするかもしれん。でも、大人のオニーサンになら分かるはずや。聖なる剣が放つ白き輝きが! これがたったの1000ディールや! どや、これは買いやろ?」


 最初から思っていたことだけれども、1000ディールはあまりにも安過ぎる。


 先ほど立ち寄った武器屋では、銀の剣が5万ディールで売られていた。5万はかなり安い部類で、一流の剣士御用達のイリディアン鋼を用いた剣は、軽く50万を超す。名工と呼ばれる鍛冶師が手掛けるものになると、貧乏冒険者の俺の貯蓄なんか、軽く吹っ飛ぶ値にまで跳ね上がる。


ちなみに、同じ武器屋で、修練用の木剣が1500ディールで売られていた。それも、子供用に作られた非常に簡単な作りのものだ。


 少女は、子供用の木剣よりも安い値段でこの剣を売るというのだ。

 これでは採算が取れないのではないだろうか。


「1000ディールか……ねえお嬢ちゃん。これがゼクスカリバーをイメージした模造品なのは分かっているけれどさ。値段が良心的過ぎると言うか、あまりに安すぎないかい? 高すぎるのはもちろん問題だけど、安すぎるというのも、買う側としてはむしろ心配になるというか——」

「なっ、なななっ、なに言うてんのやオニーサンは! パチモンちゃうわ! こいつはマジモンの聖剣やで!」


 俺が言い終わる前に、突然、少女が怒りの声を上げた。

 絶句した俺に、彼女は眉を険しくし、ビシッと人差し指を突き付けてくる。


 えっ、これが本物だって?


「あ、あはははは……これが本物の聖剣ゼクスカリバーなわけがないよね。お兄さんをからかわないで欲しいなあ——」

「人聞きの悪いことを言うたらアカンでオニーサン! こいつはホンマモンや! 正真正銘、100%、隅から隅まで完ッ璧に! 聖剣ゼクスカリバーそのものや!」


 なんかこの子、地団駄を踏みながら一生懸命抗議してくるのだけれど……。


「だから、それは絶対にありえないって——」

「もう! それ以上はウチの堪忍袋の緒もブチ切れるっちゅうもんや。その辺にせえへんと、街の衛兵さんに営業妨害で訴えるで!」

「別にそこまで意固地にならなくてもいいじゃないか。それに、伝説の武具の模造品を売る商人なんて、商人の川では普通にいるし——」

「ヘーイ! そこの衛兵さーん。ウチの商品にイチャモンつけてくる悪質クレーマーのオニーサンがこっちに——」

「ちょっと待ってくれないかな」


 やたらと本物だと主張してくるじゃないか。


 商人の川では、観賞用の武具を売る商人もいるし、その中には、過去の英雄たちが使用したとされる武具をイメージした品を並べる者もいる。彼らはあらかじめ、「これは模造品ですよ。本物ではありませんよ」と前置きし、客もそれを承知で購入するのである。


 この剣も、それらと同じ類の模造品だと思っていたのだが、目の前でふくれっ面をする少女が言うには、これは「本物」のゼクスカリバーであるらしい。


 もちろん、そんなはずは無いのだが。


「本物だと主張するのはいいけどさあ、誰もが知っている伝説の聖剣が、こんなところで売りに出されるわけがないって、普通は思うよね。しかも、たったの1000ディールだって? 本物なら、それこそ国宝級の値段が付くはずだよ。1億ディール、いや、10億ディールだってあり得る」

「ウチはな、この伝説の聖なるブツを、現場で汗水たらす冒険者に使って欲しいと思って、かわええ美声を張り上げて商売やっとるわけや。やのにオニーサンが言うような、冒険者のお財布にオーバーキルかましていく血も涙も情けもない、極悪鬼畜な値段に設定できるかいな。そんなことしたら、周りのモンからこいつアホの子ちゃうかて、指さされて笑われるだけやで」

「ま、まあ、それはそうかもしれないな。でも、聖剣一本が1000ディールっていうのは、物と値段が釣り合っていないと思うけれど」


 俺の言葉を受けて、少女はなぜか得意げな顔をした。


「ウチはとっても商売上手な美少女やさかい、お客さん目線やら損益ほにゃらら点やらエコノミクチュやら、その他もろもろの小難しいことをやな、ソロバンをパチパチ弾きもって、なんやかんやと考えとるんや。さて、このブツをどんな値段で売ったろかいなと考えとる時に、ウチの頭の中に、くっきりした姿やないんやけど、おぼろげながら浮かんできたんや……『1000』という数字が!」

「浮かんできたぁ?」

「つまり1000ディールという値段は、商売の神さんが、商売の大天才であるウチに囁いた天与の数字、まさに神がかり的な売値っちゅうこっちゃ! どやっ、文句あるかいな!」

「は、はあ……」


 本人は清々しいまでのドヤ顔で語っているが、こちらとしては全く腑に落ちない。

 そもそも、剣の値段がどうこうでは無く、根本からしておかしいのだ。

 

 何度でも言う。


 歴史と共に失われたはずの聖剣ゼクスカリバーが、こんなところで叩き売られているわけが無い!


 ふと、商人はとにかく信用ならないのだと、親父が口酸っぱく言っていたことを思い出した。


「いいかアレン。絶対に、絶対に偽物は掴まされるんじゃねえぞ! 商人の腐った奴は、本物の数倍の値段で偽物を売りつけてくるんだ。油断していると食われるのは魔物を相手にしている時と一緒、いや、魔物よりも数段タチの悪い商人だっているんだからな。数多くの商人を目にしてきた俺が言うんだから、絶対に間違いねえ……なに? もう聞き飽きた、いい加減に剣の技を教えろ、だと? おいおいおい、お前のためになるんだったら、俺は何度だってしつこく同じことを言うぞ。それが親心って奴だからな! いいかアレン。絶対に、絶対に偽物は掴まされるんじゃねえぞ! 商人の腐った奴――」


 なあ親父。聖剣ゼクスカリバーの偽物を、木剣以下の値段で売りたがる子供の商人が目の前にいるわけだが、この場合も買ってはいけないものなのだろうか?


「で、オニーサンは結局この剣、買うん? それとも買わへんの?」


 もう一度、商品を見る。


 これまで数々の剣を目にしてきたが、これほどの輝きを放つ代物を、少なくとも俺は拝んだことがない。巨体かつ頑健な魔物……例えば、獰猛で知られるオークの首であっても、この剣ならば一撃で落とせるだろう。

 それほどの剣が、たったの1000ディールで手に入るだなんて……本当にそんな値段で手に入れてもいいのかと、良心が訴えてくるレベルだ。


 本物か偽物かはどうでも良い。


 実のところ、初めて目にしたときから、これは買いだと思っている。

 親父が俺の判断を知ると、卒倒するかもしれないが。


 購入することは最初から決まっていたのだが、あくまでも興味本位で確かめておく。


「ねえ、これが聖剣ゼクスカリバーだっていう確かな証拠はあるの?」

「なんや、まだパチモン扱いする気かいな? ほなら、ええ加減出るとこ出よか?」

「そういう訳じゃあないけれども、あれだけ本物だって言い張るんだ。なら、それを示す根拠があるんじゃないかって思っただけだよ」


 根拠なんてあるわけないだろうと思っていたが、少女はあっさり「あるで」と言った。


「ゼクスカリバーは、とっても気位の高い剣なんや。この剣がマーサー王と出会うまで、ずっと岩に刺さった状態のまま、誰にも抜かれずにおったことは知っとるやろ?」

「そりゃあ、知っとるで」


 少女に釣られてつい言葉が訛ってしまったが、彼女は気にする素振りも無く、


「ゼクスカリバーは、自分の所有者となる人間しか認めへんモンやねん。さて、物は試しや。チョイとこの剣、抜いてみ?」


 半信半疑のまま、俺は剣の握りを両手で掴み、力を込めた。


「んん!?」


 あれ? 抜けない。


 全身に力を入れ、身体を思いっきり傾けて引き抜こうとしても、全くびくともしない。これでも、それなりに腕力には自信がある方なのだが。


「ムフフ、抜けへんやろ?」

「まだだこの野郎、ぐぐぐぬうおおおおおお!」


 ムキになって、自分でもよく分からない言葉を吐き散らしつつトライしたが、いい加減、手がしびれてきたので諦めた。


「はあ、はあ……ねえ、これ、抜けないように細工してない?」

「オニーサンはホント、疑り深い人やなあ。ま、ええけど。じゃ、次はウチが引き抜いてみるで」


 少女はいとも簡単にそれを引き抜いてみせた。

 拍子抜けするほどあっさりと。


「どやっ!」

「ドヤ顔しないでくれるかな。なんだかもの凄く負けた気分になるから」

「勝ち負けやないって。単に聖剣に認められとるか、そうでないかの違いだけや。ウチとオニーサンとやったら、オニーサンの方が力持ちに決まっとるやろ? でも聖剣は、力だけでは抜けへんっちゅうこっちゃ」


 納得いくような、いかないような。


 そんな微妙な心境の俺の前で、少女は今日一番の得意げな顔を披露した。


「これが……これこそが! 聖剣ゼクスカリバーだけが備える画期的な防犯機能、名付けて『選ばれしモン認証』や!」

「選ばれしもん認証!?」


 あまりにも安直すぎるネーミング……。


 呆れる俺の前で、少女は剣を元の通り地面に刺し直した。


「このとおり、聖剣に選ばれしモン以外は、絶対に引き抜くことができひんねん。それを利用して、使わへんときはこうして地面にぶっ刺しとけばええんや。選ばれしモン認証っちゅう、独自性に溢れた防犯機能のおかげで、泥棒に入られても盗られる心配は無いって寸法やな。あ、万が一やけど、その泥棒こそが聖剣に選ばれしモンやった場合は、それも運命やと思って潔くあきらめなアカンで」


 もう一度引き抜けるか試してみたが、結果はさっきと同じだった。

 仕組みは不明だが、この聖剣の模造品は小賢しくも所有者を選ぶらしい。


「こんな変わりモンな機能を搭載した剣は、世に二つとしてありまへんよってな。どや、ええ加減分かったやろオニーサン。こいつがホンマモンの聖剣やってことが——」

「ああ。買うよ」


 俺がそういうと、少女はパッと表情を明るくした。


「え、ホンマに!? ちゅうことは、ようやくこの剣をホンマモンのゼクスカリバーやと認めたっちゅうわけやな!」


 決して認めたわけではないが、最初から買うことに決めていた。

 剣一本1000ディールは、金欠冒険者の俺にとってあまりにも破格過ぎる。

 俺は金貨袋から銀貨を一枚取り出し、少女に手渡した。


「イケメンのオニーサンが、伝説の聖剣をお買い上げや! じゃ、次の商品の仕入れに行ってくるわ。今日はホンマにありがとうやで!」


 少女はそう言い残して、鼻歌交じりにトテトテと大通りを駆けて行った。

 俺は彼女の姿を見送ってから、地面に刺さった剣に手を掛けた。今度は難なく抜ける筈だ。なんてったって、1000ディールで購入したわけだから。


「よいしょっ……ん? ぬ、抜けない!?」

 

 ビクともしない。

 思いっきり力を込めるが、全然歯が立たない。

 なぜだ。ちゃんとお金を払って買ったんだ。抜けないとおかしいじゃないか。いやだぞ、こんなベッタベタな展開はっ! くそっ、そもそも偽物の癖に人を選んでんじゃあないっ!


 1000ディールの剣と格闘していると、ふと、周りから視線を浴びているのに気付いた。


 行商人たちが、何やら興味深そうな見世物が始まったかのような好奇の目を俺に向けている。

 違う、俺は大道芸人じゃない!


 ご婦人たちが足を止め、俺を見てクスクス笑っている。

 いや、本当に抜けないんですってと、俺は何とか照れ笑いを返す。


 そして、いかにも腕に覚えがありそうな、ピッチピチの鎖帷子を着こんだ屈強な三人の男たちが、情けない奴がいるぞと、俺を指さしながらニヤニヤしていやがる!


「笑ったなテメェこの野郎! ならお前らがこの剣抜いてみろや!」




 あの日から一週間。


 ありとあらゆる人が試しましたが、例の剣は誰にも抜けず、今も商人の川に突き刺さったままです。


 我こそは世界で一番の豪傑なりと息まく力自慢の方がおられましたら、オルメディアの商人の川へぜひお越しください。そしてもし剣が抜けましたら、持ち主である俺、アレン・バードウェルへご一報、よろしくお願いいたします。




_____________________________________


 本作の「聖剣ゼクスカリバー」は、言わずと知れたアーサー王の所有物「聖剣エクスカリバー」のパロディとなっております。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る