第4話  婆、繰り返す!

 放課後の屋上。妙は黄昏れていた。


「ああ、今日で私も、1人の男子のものになってしまうんやなぁ」


妙は呟いた。そこで、屋上の扉が開いた。入って来たのは、何をやっても2番の男、イマイチ目立たない二条君。


「この手紙をくれたの、もしかして君?」

「そうや、私やで。あんた、私のこと知らんの?」

「知らない。誰? 手紙にも名前が書いてなかったけど」

「私は毒島妙。毒島っていう苗字は気に入ってへんから、妙って呼んでや」

「で、妙さんは僕に何の用なん?」

「あんた、ラッキーやな。この私と付き合えるで」

「はあ?」

「いくら私が美人やからって、照れんでもええで。ほな、帰りにコーヒーでも一緒に飲もか」

「いや、俺、部活があるし」

「彼女が出来た記念すべき日やで、部活1日くらい休んだらええねん」

「いやいや、付き合わへんし」

「なんで? 断る理由があるの?」

「いやぁ……」

「何やのん? 言いたいことがあったら言うたらええやんか」

「俺、好きな娘(こ)がいるから)

「なんや、片想いかいな。話にならんな」

「ええやんか、それに、好きな娘がいなくても、俺は妙さんとは付き合わへんで」

「なんで! なんでなん?」

「妙さん、僕の好みのタイプちゃうもん」

「なんやて? 私の完璧な美しさに文句があるんか?」

「だって、妙さんブサイクやし、お腹出てるし、顔デカイし……」

「私のどんぐり眼に文句あるんか?」

「どんぐり眼? 目が大きいって言いたいんか? そのくらい普通やで」

「私、小顔やで」

「それは、体が大きいからそう見えるだけやで、錯覚や!」

「えーーー!?」

「ほな、俺は部活に行くわ」

「待ってや、二条君-!」



「……と、いうことやねん」

「僕はなんて答えたらいいの?」

「思ったまま意見を言うてや」

「二条君の言うことに、間違いは無いと思うよ」

「なんで? あいつは私のことを全否定したんやで」

「でも、二条君は間違ったことは言ってないよ」

「私の顔を否定したで」

「っていうか、妙さんは美人じゃないから」

「あんたも私の美貌を否定するんか?」

「美人ではないよ、悪いけど。美人前提で話を進めない方がいいよ」

「二条君は私のスタイルまで否定したんやで」

「だって、実際、妙さんはお腹が出てるじゃないか。ハッキリ言って太ってるよ」

「そのくらいがチャーミング、愛嬌というもんとちゃうの?」

「顔デカイし」

「私は小顔や!」

「体が大きいから小さく見えるだけだよ」

「あんたは私の味方とちゃうんか?」

「そんなことより勉強しようよ。勉強しないなら帰るよ」

「わかった。もう、ええわ。今度は三条君や」

「また同じことを繰り返すの?」

「相手が変わったら、繰り返しにはならへんわ」

「はいはい、じゃあ、数学から」

「……」



 そして、放課後の体育館裏。妙は黄昏れていた。


「ああ、今日で私も、1人の男子のものになってしまうんやなぁ」


妙は呟いた。そこで、1人の男子が現れた。やって来たのは、何をやっても3番の男、二条君よりもイケメンな三条君。


「この手紙は君から?」

「そうやで、私は毒島妙。毒島っていう苗字は気に入らんから、妙って呼んでや」

「で、妙さん、話って何かな?」

「あんた、ラッキーやな、この私と付き合えるで!」



 同じことを繰り返す妙だった。







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