皮を被る

遅くなって、いなくなって気づいた

「おはよう」

　みんなはこのおはように応えてくれるのかな。

「「「おはよー」」」

　応えてくれた。

昨日から引きずっていた、不安がすっとなくなったように感じる。

　今日、高橋さんはお休みらしい。このまま学校に来ない、なんてことがないように起らないといいけど。

　上間は退学したらしい。一度のいじめというか、嫌がらせで退学にまでなるのかと思ったけど、一年生の頃からの悪行も含めてのようだった。

　なんだか、いなくなったらなったで虚しい。

なんの音沙汰もなく消えた感じ。

　高橋さんも上間もいない、つい昨日までの出来事が夢でのことのように感じる。

　なんか、最後ぐらいは最低じゃなくて、もっといい言葉を言いたかったな。

　言いたかったこと、したかったこと、昨日までは顔も死ぬまでみたくなかったくらい大嫌いだった....いや今も変わらず大嫌いだけど、なぜか悲しい。

　ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

　東堂上間（とうどうじょうま）

　完全に縁が切れた。

　最後の最後で大喧嘩をして絶交も同然、挙句の果てには退学でもう学校にも行くことはない。あいつの家も知らないし。

　高橋は昨日勢いでブロックしてそのままだ。高橋だけじゃない、他のやつもブロックした。

何してんだろ、俺。

　せっかくの進学校だったのに、結局退学になった。すでに大学レベルの授業だったから、低レベルの大学か中堅クラスだったら入れるだろう。

でも、そんなことして何になる？

やる気なんかこれポッチも起きねぇよ。

　親父には怒鳴られてビンタされるし、母さんはそれに怒って、夫婦喧嘩....やってらんねぇ。

　ご立派な愛染様はSNSなんてやってなぇし困ったもんだ。

　.....最後に話したい。

どんだけ時間がかかっても、俺の話を聞いてもらいたい。あいつなら理解してくれるはずだから。

　また、チャンスがほしい。