異世界転移したら王様に無能と言われ戦争の最前線に向かうことになりました。ムカつく上官をぶっ殺して敵国に寝返ります~え?王女が消えた?王女なら俺の上で寝てるけど、返して欲しい?でも帰りたくないって

にこん

第1話 戦場へ


「そこの兵士しゃきっとしろ!これより進軍を開始する!」


その言葉で俺の意識は覚醒した。


今まで馬車の中で仮眠をしていたのだが、起きてしまった。


馬車の車窓から外を見た。


少し先に映る光景は地獄だった。


空を覆うのは大量の竜とそれに乗る竜騎兵。

そいつらが覆っているせいで陽の光が見えないくらいだった。


地上にはビッグウルフと呼ばれるモンスターに乗ってこっちに迫ってくる敵の軍団。


一目見て、あー戦争だってなるやつ。


「戦場では深く眠るな!死ぬぞ!」


(あぁ、なんでこんな面倒なことになったんだっけな……)


あぁ、そうだ。


俺少し前に異世界に召喚されたんだった。


グレムリン王国。


そこの王様に召喚された。


よくあるような勇者召喚だったが、目的は魔王を討伐してくれ、とかそんなものではなかった。


ガルム帝国との戦争に加われというものだった。


王国は優勢であり帝国はかなり劣勢だった。


王国側はかなり優勢だった癖に、その上で更に帝国を完膚なきまでに粉砕しようとして行ったのが勇者召喚。


そして召喚されたのが、俺だった。


17歳

高校に通っている普通の陰キャ高校生だ。


そんな俺が急に召喚されてそして、戦場に駆り出された。


その際にステータス測定を行うことになったのだが……


『ぷぷぷっ!オールステータス100だって。弱すぎぃぃwww簡易ステータスチェッカーくん、壊れちゃったかなぁ?』


なんてふうに王様に馬鹿にされて俺は最前線の配置となった。


最前線、帝国軍と1番近い場所。

つまり一番死にやすい場所である。


俺はオールステータス100ということで雑魚扱いされて使い捨ての駒扱い。

だから、最前線。


王様は俺が簡単に死ぬような雑魚と判断したのだろう。


「戦争とかマジでだるいなぁ」


膝抱えてうずくまってたら上官が俺の顔を殴ってきた。


「貴様、それでも男か?!だるいだと?!戦場こそ我々の居場所である」


怒鳴られた。


(なに俺の事殴ってんのこいつ。むかつくなぁ)


「誇れ!貴様は王国の全てを背負ってここに立っているのだぞ?!」


「ふーん」

「我々が戦争に負ければ王国は侵略される!そのときお前の家族が我々と同じ目に会うのだぞ?!」


「俺に家族はいないっす。帰っていいっすか?」

「ならん!お前に家族がいなくても俺にはいるからな!俺の家族を守れ!」


「どうして、俺があんたの家族を守らなきゃいけないんだよ」


「貴様は王国人だろ?!帰属意識を持て!」


「違います。異世界人です」


「口答えするなぁっ!ったく最近の若もんは!」


上官は剣を振り上げた。


そして俺に向かって振り下ろす。


ピトッ。


「貴様、ふざけているのか?指一本で止めおって、生意気だ!」

「ふざけてるのはあんたでしょ。戦争前に仲間割れなんてしちゃって。は〜うぜぇ〜わぁ〜このおっさん」


そのとき、馬車が止まった。


「ここからは歩きだ。行くぞ、新兵」


馬車をおりて行く上官。


俺はアクビしながら降りるとそのまま上官とは逆に歩いていく。


「どこへ行く?!新兵?!」

「帰ります。帰って寝ます。ふぁ〜」

「無事に帰れてもいずれまた徴兵されて終わりだぞ?!ぶはははは!!!」


ピタッ。

俺は足を止めた。


「あー、そっか。戦争ってそういうものだもんね。どちらかが負けるまで終わらない」


俺は足を止めると上官の方に戻った。


「覚悟を決めたか?」

「えぇ、俺は進む道を決めましたよ、上官さん」

「そうだ。その意気だ。我々は友の死体を盾にしてでも進んでいく覚悟、がはぁ、」


俺は上官の左胸に手を突き刺した。


「ごはっ……」


上官は俺に向かって血を吐き出してきた。


「血なんて吐かないでくれるかなぁ?汚いなぁ。この軍服は新品なんだよね」

「なにをしている……」


上官は俺の胸ポケットを見ていた。


そこには星のマークがある。


「ひとつ星の貧弱な新兵が……私は2つ星だぞ……?」


俺はニコッと笑った。


「なにって?反逆ですよ。分かりませんか?」


「貴様ぁっ!」



「ごちゃごちゃうるさくてムカついたのであなたの死体を盾にして俺は進みます。友の死体を盾にする。さっき、そう言いましたよね?」



ニヤッ。


俺は口元を歪めて笑った。


「なぜ、私を、殺す?目的は、なん、だ?」

「終戦ですよ。この戦争を終わらせます」


「殺すのは、私では無い、ぞ?今ならまだ間に合う。三ツ星以上のヒーラー、を……」

「あんたで合ってるよ」


俺は上官の胸から自分の腕を引き抜いた。


俺の右手にはドクドクと脈打つ心臓が握られていた。


「この戦争は帝国側の勝利で終わる。ここから俺が帝国側につき戦況をひっくり返してやろう」


グチャッ!


俺は心臓を握りつぶした。


倒れながら上官は最後の力を振り絞って呟いた。


「なぜ、今更、敗色濃厚の帝国側、、、、に……かはっ……」


「お前が偉そうでムカついたから。王国の敗因はそれだけ。つまり戦犯はお前でーす」


俺は近くにあった水晶に触れて自分のステータスを確認した。


名前:佐山 大地

レベル:100,000,000,000

攻撃力:100,000,000,000

防御力:100,000,000,000

魔力:100,000,000,000

体力:100,000,000,000


できること:すべて(思ったことはすべてできる)

できないこと:なし




初めてこのステータスを見たのはここにくる馬車の中だった。

どうやら、王様が使ってたステータスチェッカーだけど、上三桁の数字しか表示されないみたいだ。







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