チョコケーキが食べたかっただけの夢

2024.7.13


 昼寝をしてたら夢を見た。


 私は映画館にいた。

 おそらく映画館だったはずだ。

 14:25開始の、ポケモンの新作映画を見に来たはずだった。


 メニューには、美味しそうなコーヒーとチョコケーキの写真がある。映画を見ながら食べようと思った。

 この映画館は、スナックとチケットを同じ窓口で売っていた。それを不思議に思わず、チケット窓口へと向かう。


 カウンターに立っているのは、サンバイザーをかぶり、ビビットでポップな制服を着た店員。彼女ら二人は、「藁の中の七面鳥」という曲に合わせて、英語で私に注文を聞いてきた。


「いらっしゃいませお客様。

 今日の注文は何ですか?」


 英語とはいえ、私自身には日本語のように聞こえてきた。夢の中の私は、英語が理解できるらしい。

 しかし、面食らってしまった。英語を話すのは苦手だ。


 私はシアターの入口を見る。この時点で、入場開始から五分経過している。

 チョコケーキセットとチケットだけを頼むには、どう言ったらいいものか。


「朝食のメニューは何にする?

 目玉焼き? それともスクランブル?」


 朝食だって? 私は店員を見る。

 店員はボウルの中にタマゴを割り入れた。


「いえ……大丈夫です」


 私は(自分が認識している限り)日本語で中途半端な返答をしてしまった。店員は一瞬「何こいつ」みたいな顔をした。しかし、すぐに表情を笑顔にして、カラザを除去した。

 私は困った。英語で「いらないです」と言うには、どう言うんだったか……


「じゃあ焼き加減はどうしようか?」


「あ、いえ……」


 それよりチケットだ。チョコケーキは最悪食べなくていいが、映画は見たい。早くチケットを買わないと、映画が始まってしまう。


「飲み物はここに入れるわね」


「え?」


 私は目をしばたかせた。

 と言うのは、タマゴとライスとベーコンが入ったボウルの中。食べ物と紙コップを一緒に入れると言うのか?


 そこで目が覚めた。

 私は映画が見たかっただけなんだ。

 真昼間に朝食はいらない。

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