迷子のトカゲを拾った夢

2024.6.13


 とても深刻な夢を見た。


 大きなトカゲを拾った。

 茶色くて、鱗がトゲトゲしていて、目はキャッツアイに似ている。

 フトアゴヒゲトカゲに似ているが、それよりも大きくがっしりとしていた。両手で抱えるくらいに大きい。

 トカゲは暫くの間大人しく抱かれていたが、やがてのそのそと私の体を這い登り、左肩にちょこんと乗った。

 とても可愛い。そして、ひんやりする。


 このトカゲ、どう見てもペットだろうと思った。飼い主が探しているのではないか。

 辺りを見回し、通行人に声をかける。しかし、全員「そんなトカゲ知らない」と言う。

 私は暫く保護することにした。ポスターやSNSで飼い主探しをしようと。


 肩からおろし、再び両手で抱えた時だ。

 突然、トカゲがぐったりとしてしまった。


 私はぎょっとした。

 もしや怪我があったのか。病気があったのか。

 それとも、私が無知故にトカゲとの触れ合いに失敗し、怪我をさせてしまったのか。


 私は急いで行きつけの動物病院に向かう。犬猫だけではなく、鳥類、爬虫類も診察してくれる病院だ。

 泣きながら病院に飛び込んで、私のせいでトカゲが死にそうだと訴える。

 私のせいだ。私が拾ったばっかりに。

 そう自分を責めていると、獣医は優しくこう言った。


「ほとんどの人は、保護するどころか見ようともしない。保護するというのは立派なこと。トカゲのことは、私達に任せなさい」


 そこで目が覚めた。

 よかった。可哀想な迷子のトカゲなんていなかったんだ!

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