ゲーム中盤で死ぬ悪役貴族に転生したので、外れスキル【テイム】を駆使して最強を目指してみた 〜俺だけが幻獣や神竜をことごとくテイムできる件。しかも魔物の能力も使えます〜
八又ナガト
第一章 悪役貴族への転生
第1話 転生
名作恋愛アクションRPG『剣と魔法のシンフォニア』
フィナーレ王国の王立アカデミーを舞台とし、魔王討伐を目指す主人公とヒロインたちを中心に繰り広げられる王道物語である。
練り込まれた世界設定に、魅力的なキャラクターの数々。
さらに恋愛ゲームでありながら徹底的に作りこまれた戦闘システムによって、最高の評価を得た名作だ。
さて。この作品ではヒロインごとに分岐する幾つかのルートを攻略できる。
そして全てのルートにおいて、必ず死亡するキャラクターが2人存在する。
まず、1人目が魔王。
こちらは当然と思う人がほとんどだろう。
そしてもう1人は、主人公と同じクラスに所属する、いわゆるかませ犬的な立ち位置の敵キャラ――レスト・アルビオンだ。
彼は物語中盤において、主人公とヒロインたちに襲い掛かるも返り討ちにされ、最後は魔王軍幹部の手によって殺されるという悲惨な末路が決定づけられている。
なぜ突然、そんなサブキャラクターについて語り始めたのか。
その理由は、勘のいい方ならもう察していることだろう。
――そう。なんと俺が、そのレスト・アルビオンに転生してしまったからだ!
俺が前世の記憶を取り戻したのは、ほんの数日前。
14歳になった者が女神からスキルを与えられる特別な儀式――『神託の儀』でのことだった。
アルビオン家は、代々強力な剣士を輩出してきた実力至上主義の名家。
そして俺ことレストは、そんなアルビオン家の四男。
剣士系最高峰のスキル【剣聖】、もしくはそれに近い性能を誇るスキルを獲得することを期待されていた。
しかし『神託の儀』当日。
俺に与えられたのは【テイム】という、非戦闘用の外れスキルだった。
そのことを知った家族からの反応は、それはもう散々なものだった。
父からは『お前などアルビオン家にふさわしくない』と否定され、
兄からは『弟が無能なおかげで、後継者争いが楽になって助かったよ』と嘲笑われる始末。
しかし、そんな絶望的な状況のなか、俺は彼らの反応などどうでもよかった。
その理由はたった一つ。
神託の儀で【テイム】を与えられた瞬間、俺は前世の記憶を取り戻し――レスト・アルビオンが、前世でプレイしていたゲーム『剣と魔法のシンフォニア』に登場するキャラクターであることを思い出したからだ。
「それにしてもまさか、主人公じゃなくて悪役キャラに転生するなんてな……」
前世でプレイしていたゲームの世界に転生できたとなれば、普通ならば喜ぶべきことかもしれない。
しかし今回に限っては、そうできない事情があった。
既に少し語ってしまったが、ことの始まりは俺が与えられたこのスキル――【テイム】に起因する。
【テイム】とは本来、馬や鳩など、動物を操ることしかできない弱小スキル。
仮に商人などであれば優秀なスキルといえるが、実力至上主義のアルビオン家からすれば外れスキルもいいところだった。
そのため、今のように家族から除け者扱いされるのも当然。
ゲーム内でレストが語っていた境遇と、全く同じ状況だ。
だが実際のところ、真の問題は、決して【テイム】が弱小スキルだからなどではなかった。
むしろその逆。
俺は前世の知識で知っていた。レストの【テイム】が特別であり、なんと家畜だけでなく魔物すら操ることができると。
原作のレストが、このことに気付くのはもうしばらく先。
その時にはもう、度重なる迫害でレストの心は歪みきっており、彼は人々を傷付けることに【テイム】を利用した。
一人を除いて家族を皆殺しにした後、その牙が主人公とヒロインに向き――最後には魔王軍幹部に力のみを奪われるという最悪な死に方をしてしまうのだ。
――そう。ここでさらに重要な点が一つ。
レストの持つ【テイム】は、その特殊性から魔王軍に目をつけられている。
そのため、仮に俺が主人公と敵対しない道を選び、死亡フラグを立てないように気をつけたとしても関係ない。
この力を持つレストは、いずれ間違いなく魔王軍から狙われるはずだ。
その死亡フラグをどう折ればいいか――そんなことは決まっている。
「ゲーム知識を利用し、どんな相手でも圧倒できるくらい最強になってやればいい」
幸いなことに、物語が開始する日まであと1年は残っている。
前世の知識を最大限に活かせば、最悪の事態を回避することも可能なはずだ。
「よし、決まりだな」
こうしてレストに生まれ変わった俺は、前世のゲーム知識を駆使し、この世界で最強になることを誓ったのだった。
―――――――――――――――
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