第11話 お化け問題(2)
「はあ~、」
ため息が出る。なんてったって私は今両腕を掴まれている。明と陽向先輩に。
「どうしてこんなチーム分けに…」
私だってホラーがめちゃくちゃ平気って訳じゃない。ホラー耐性100をMAXとすると、6、70ぐらいだ。ただこの二人は…
「あっ!
「努ちゃん!なんか音した!」
両者耐性2ぐらいだ。特に明は、マイナスかもしれない。
「わー!!」
「ちょっ、声大きい!」
明の叫び声は大きいから、それに驚く。先輩と明はお互いの驚いた声で、驚き合い、連鎖している。
「二人とも…早く歩きましょ?先輩も先輩らしくしっかりしてください。」
「うう、堂々としたいのは、やまやまなんだけどね……」
「あー!努!なんか白いのいる!」
「……」
疲れる……どうして、耐性100の望先輩と静が一緒なの…
「先輩っ!なんか声聞こえますよお!」
「ききっ気のせいよ!ほら、楽しい話でもしましょ!」
「…楽しい話ですかあ?」
「うん。きっと
「こんなところで?」
とは思ったが、あの二人ならお化け屋敷でそんな話をしそうだ。
「ほら、明ちゃんはお化けっていると思う?」
「いますよ!いなきゃ、こんなびびりませんよ!」
「そう?私はそうは思わないけど…」
「じゃあ、何で先輩はそんなにびびってるんですか?」
私は聞く。
「え……いてもいなくても怖いもんは怖いじゃない。お化け屋敷においては、お化けの格好をした人が脅かしに来るんだから!実際いるいないは関係ないよ!」
「そういうもんですか…」
そんな会話をしていると、長い髪のお化けが、突然脅かしてきた。私は心臓がビクッとする。ただそれ以上に鼓膜へのダメージがでかい。両隣がうるさい。
「うう…何で努は平気なの?」
涙ぐんだ目で明は聞く。
「相対的によ。私だって怖いの。…ほら、楽しいこと考えるんじゃなかったの?」
「楽しいこと……そうだ!私思ってたことがあるんだけど、お化けって空飛べるじゃん?」
「確かにそんなイメージがあるわね。」
先輩は震える声で返事する。
「ってことは、楽しそうじゃないですか?ふわふわ空飛ぶの!」
「そう?」
「努は高いところ苦手だもんね。先輩はどう思います?」
「地獄ね。」
「……先輩は何だったら得意なんですか?」
だが確かに、お化けにおいて空を飛べるというところに着目するのは面白いかもしれない。
「他にも、お化けっていろんな所すり抜けられて面白そう!」
「確かに…地面をもぐって、マントルを直接見れるかもね。」
「…変なの、努。そもそも、暑いんじゃない?」
「どうだろう?お化けは、暑いとか感じるのかな。どう思います?」
「えっ、どうだろ。でも、お化けが出ると涼しくなるって言うよね。夏に良さそう。」
「お化けを冷房器具にしないでくださ……!」
「どうしたの?努ちゃん?」
「なんか後ろから…」
「やっ、やめてよ!」
私たちがゆっくりと振り向くと、そこにはゾンビがいた。
「わーー!!」
二人につられて私も声を出す。ゾンビに驚くのが終わったかと思うと、次は小さな物音に二人か敏感に反応する。そしてまた、お化けを見て大声を出す。…神経がすり減るのを感じる。最後には、血を流した幽霊が追っかけてきた。
「もう、いやーー!!」
「きゃー!」
叫び声に耐えつつ、必死に逃げてようやく出口。外に出ると、望先輩と静が待っていた。
「おかえりー」
二人はケロッとしている。
「お疲れ様です。大変だったみたいですね♪」
静はにっこりと笑う。
「……なんか安心した。」
お化けより、人間が怖いなんて話はよくあるけど、はっきり分かった。一緒にお化け屋敷をまわる人は選んだ方がいい。お化けよりも…疲れる。
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