第9話 遺跡での啓示
康平の旅はさらに続き、彼は今度は古代遺跡が残る遠い地へと向かった。この地は、かつて強力な文明が栄え、多くの神話や伝説が息づいている場所だった。康平は、そこで何か新たな発見があるかもしれないという期待を胸に、グディーと共に古い遺跡を訪れることにした。
遺跡は山の中腹に位置しており、そこへの道は険しかったが、康平の心は既に多くの試練を乗り越えてきたため、この旅路も彼にとってはさらなる冒険の一部に過ぎなかった。遺跡に到着すると、彼の目の前に広がったのは壮大な石の構造物と古代の壁画で装飾された廃墟だった。
壁画には、太陽を崇拝する古代人の姿が描かれていた。彼らは太陽に向かって手を伸ばし、その光を全身で浴びているように見えた。さらに深く遺跡を探索すると、康平は龍と太陽を組み合わせたような図が描かれた特別な場所を見つけた。この図は、彼が旅の途中で見た龍の雲と、淡路島の古老が語った龍神の話を思い出させた。
康平はその場でじっと立ち止まり、壁画から発するかのような強いエネルギーを感じ取った。彼は、この図がただの装飾ではなく、何かを伝えようとしているメッセージであることを直感した。心を落ち着かせてじっくりと壁画を眺めながら、康平は自分の内面に問いかけた。
「ここに来た意味は何だろう? これは何を示しているのだろう?」
その時、康平の心に静かな声が響いた。それは彼自身の内なる声か、それとも何か大いなる存在からのものかはわからなかったが、その声は彼に「すべての生きとし生けるものは太陽のように自らを照らし出す力を持っている。お前もまた、その力を内に秘めている」と教えてくれた。
康平は深く感動し、目から涙がこぼれた。彼は自分がこの遺跡を訪れることで、自己発見の旅が一つの結論に達したと感じた。この啓示によって、彼は自分自身と世界を見る新たな視点を得ることができ、以前感じていた不安や恐れが消え去り、代わりに大きな安堵と充実感が彼を満たした。
康平はこの場所でしばらく時間を過ごし、壁画から受けた教えを自分の中に深く刻み込んだ。その後、新たな気持ちを胸に遺跡を後にし、グディーと共に旅を続ける準備をした。この経験は、彼の人生において忘れがたい貴重な瞬間となり、彼の旅を完結させる重要なピースとなったのだった。
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