第224話 人外エロ審査会(脳内)

~ 時を遡ること数分前 ~


委員長「これより、人外エロ審査会を開催します。本審査会の決議の結果によって、キモヲタの性癖断罪、つまり即ち直ちに処刑、もしくは新しい性癖の受け入れ拡大を判断するものとします」


人外党「委員長!」


委員長「人外党くん!」


人外党「今日、この審査会が開催されたことを我ら人外党、心よりお祝い申し上げたいと思います。なんとなれば、人外フェチにおいて触手こそ究極の理想、人類が目指すべき最終到達点であると信じるものだからです。しかも、今回の触手は、女性が触手でくんずほぐれつするというシチュではありません。一応は男性であるキモヲタの方が触手に責められる側となるわけです。しかも相手の中身はマジもんの粘液生物。ふがいないことではありますが、人外性癖を極めんと長年の努力を続けて来た私でさえ、イケるのはスキュラ娘やスライム娘まで。今回のキモヲタ殿の男気には、もはや感服せざるを得ません。そもそも触手というものは……」


委員長「人外党くん、そろそろ時間です。手短にまとめてください」


人外党「失礼しました。今回のキモヲタ氏の挑戦は、人類がその本質として抱えているあくなき探求心の発露であります。彼の志した達成した暁には、必ずや帝国史上最強の変態、ヒグマへの挑戦を上回る実績となり、エイにエイエイする漁師を上回る歴史を世界に残すに違いありません! よって我が党はキモヲタ殿を指示します!」


映倫党「委員長!」


委員長「映倫党くん!」


映倫党「わたくし共、映倫党は今回の性癖拡大に絶対に反対です。その理由は言うまでもありません。触手プレイなどというものが、正常で健康で持続可能な性癖であるはずがありません。そもそもヒグマとかエイとか触手とか頭おかしいですよ! そんなもの正常な脳内に映像化できるわけないでしょう! 正気を失ってるとしか言いようがありません!」


人外党「帝国ではそのどれも映像化されている! エイなんか春画として残ってるぞ! 映倫党は嘘を吐くな! ググレカス!」


映倫党「どうせエロ同人誌なんでしょ! そんなの論拠になりません!」


人外党「商業誌と歴史的資料価値の高い浮世絵だわ!」


映倫党「つまり昔のエロ同人ってことじゃないの! なに本気にしてんの? DT丸出しでマジ受けるんですけど!」


人外党「なんだと!? エロ同人をバカにすんじゃねーっ!」


委員長「人外党くん! 不規則発言は慎むように。映倫党くんも発言に当たってはレーティングを意識するように」


映倫党「し、失礼しました委員長。とにかく我が映倫党といたしましては、これ以上キモヲタの性癖が歪むことについて多大な懸念を抱いており、今回の受け入れ拡大については反対の意を表明いたします」


委員長「それでは、今回、参考人として出席していただいているキモヲタくんのを聞いてみたいと思います。それでは、キモヲタくん」


キモヲタ「まず皆さんは誤解されているようでござる。今回の性癖は『触手』でも『そのまんま粘液生物』でもないでござる。あくまで主眼はGカップのチャットGピー子であり、その中身については人格があることを別にすれば、Gピー子のおっぱいを膨らませるでしかござらん」


人外党「そ、それではキモヲタは触手が良いというわけではないと?」


キモヲタ「触手そのものについては何の思い入れもござらんな。スキュラ娘しかり、スライム娘しかり、あくまで美少女が主であり、我輩にとっては触手はその属性のひとつに過ぎないのでござる。つまりチャットGピー子たんのGカップこそが全てでござる!」


映倫党「つまり『おっぱいよければすべてよし』ということなのですね。さすがDTキモヲタ、目の付け所がイカ臭いです」


キモヲタ「チッ、チッ、チッでござるよ。言ったでござろう『GのGカップ』と」


映倫党「ならエレナのGカップは? ラミアたちの巨乳は?」


キモヲタ「ふっ。おっぱい最高……」


映倫党「結局、巨乳が好きなだけじゃないですか!」


キモヲタ「断じて違うでござる! キーラタンのちっぱいだって我輩大好物でござるよ! それにキーラタンのおっぱいは、いつか我輩がもみもみもみ尽して、おっきくする予定でござる!」


映倫党「なんというセクハラ発言。なんとかしてキーラに伝えてやりたいわ」


キモヲタ「我輩、反省しました! 何卒勘弁してくだされでござる!」


委員長「キモヲタくん、不用意な土下座は慎んでください。それでは結論を出したいと思います。皆さんの判断をお聞かせください」


人外党「今のキモヲタの発言によって、完全な触手フェチではなく、おっぱいと人形フェチとの混合フェチということが判明しました。しかし、我が党としてはいずれ完全な触手へと至る道ということで、今回の性癖はもちろん”セーフ”とさせていただきます」


映倫党「我が党は、正常で健康で持続可能な普通の性癖を目指すことを党是としています。なので当然、”アウト”とさせていただきます。


委員長「意見が分かれましたので、今回はキモヲタくんの判断を以て当委員会の結論とさせていただきたいと思います。ではキモヲタくんにお伺いします。『美少女の中身が触手生物』アリやナシや?」


キモヲタ「……」


人外党「……」


映倫党「……」


委員長「……」


キモヲタ「……」


人外党「……」


映倫党「……」


委員長「……」


キモヲタ「美少女の口から長い触手でペロリンちょ……アリでござるな」


人外党「よっしゃ!」


映倫党「あぁ、もう駄目だわこのDT……」


委員長「以上! 人外エロ審査会における結論は『少女の口から長い触手でペロリンちょ』を”合格”と致します!」


キモヲタ「よっしゃあぁぁあ! でござるぅぅ!」


 喜びを全身で表すキモヲタでした。




~ そして現実へ ~


 人外エロ審査会が終わり、キモヲタが現実に戻った瞬間――


「……というわけで審査結果は"合格"でござる!」


「何言ってるの!? キモヲタ、頭大丈夫!?」



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