第41話 頑張れよ・・・
【主人公視点】
ギルドマスターの部屋から俺たち3人は出てきた。その後から話がついた、とシルフィスさんが言い放ちつつ出てきた。そしてミカは俺を見て悪い笑みを浮かべる。
「服を買いに行くわよ」
いきなり買い物をすると宣言したが、状況が分からないんだが・・・
「え、買い物って、その前に俺たちの今後はどうなったんだ?」
俺がそう尋ねると、ミカが即座に俺に向き直り、軽く怒ったような表情を浮かべた。えっ?俺何かやった?
「男なんだから細かいことを気にしないの! ほら、黙ってついてきなさいよ!」
いや、いや、普通は気にするだろ!こんな状況で気にするなってそりゃ無理だろ。そう思いつつ、反論しても言いくるめられる未来しか思い浮かばず、反論する気力が湧かなかった。
そこで俺は仕方なくカナエに助けを求めるように尋ねた。
「カナエ、どうなったんだ!?」
すると、カナエは少し困った顔をしながらも答えてくれた。
「シルフィス様の配下に変装して、城に向かい一部の男子以外を救いに行くって言ってたわね。細かい話は後で・・・だって。」
なるほど、一部の男子以外か・・・
その言葉の意味するところがなんとなく重い。でも、今はこれ以上深く突っ込むのはやめたほうが良さそうだ。
そんなことを考えていると、突然ギルドマスターが俺の肩に手を置いてきた。驚いて顔を上げると、彼はニコニコと満面の笑みを浮かべている。
「少年、頑張れよ」
その表情は、まるで全てを悟って理解しているかのようなものだった。俺は無言で頷き、ギルドマスターに見送られる形でその場を後にした。
さっきまでいじけていたけど、俺の扱いを見て同情したようだ。
その後、俺たちは仕立て屋に連れて行かれた。高級感あふれる店内に入ると、シルフィスの一言で、俺たちの服が用意されることになった。
「えっ、俺の服も買ってくれるの?」
「そうよ。あなたも一緒に行動するのだから、見た目を整える必要があるでしょ!」
ミカが呆れ顔で答えた。
「山田様、体裁上、私の配下となっていただくしかなく申し訳ございません。あくまで振りですので演じてください。それに伴った服を用意しなければならないのですわ。冒険者らしい格好では、護衛としてが限界となり、私と行動を共にできるのは城の入口までになりますので」
シルフィスはあっさりと言ってのけた。
そして、なぜか俺には執事服が仕立てられることになった。最初は冗談かと思ったが、どうやら本気らしい。次々と体のサイズを測られ、あっという間に寸法を取られていく。執事服か・・・確かに異世界に来たし、こういうこともあるのかもしれない。某アニメでも執事服の爺さんはすこぶる強いしな・・・
その時、ふと視界に侍女の姿が入った。彼女はシルフィスのそばで黙々と仕事をしていたが・・・どこかで見たことがあるような気がする。しかし、記憶は曖昧で、思い出すことができない。いや、そもそも気のせいかもしれない。今はあまり深く考えないでおこう。
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その日の夜、シルフィスの手配で宿に到着した。もちろん彼女自身が動くわけではなく、実際に手を動かすのは彼女の配下たちだったが、それでも滞りなく部屋は用意された。
そして夕食の後、侍女の1人が部屋に来た。
「シルフィス様が皆様にお話があるとのことです。全てをお話しするとのことです」
シルフィスの侍女はそう言って俺たちを彼女の泊まる部屋へと案内した。
少し緊張しながらも、俺たちは彼女の部屋に足を踏み入れる。
その瞬間、思いも寄らない出来事が起きた。俺の目の前でシルフィスと、先ほど気になったシルフィスの侍女が土下座をしていたのだ。
「えっ・・?」
驚いて言葉を失う俺。まさか、こんな形で謝罪されるなんて・・・一体全体何が起きたんだ?
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