EP01 ロボ対ロボ?

それから暫くしての事であった。 

時間稼ぎを佐藤にお願いした俺は戦いそっちのけで座禅を組んでいた。


「…あの…ゆ、ゆうくんはど、どれくらい時間稼ぎすれば…」

「あと、もうちょっとな気がする!」

「というか! なにこの状態!? なんで私と愛っちがバリアの中で真央は外なの!? 意味わかんない感じなんですけど!」


というのも俺が佐藤にお願いした事は、俺の幼馴染でもあり腐れ縁のちょっと変な喋り方をする”おもろい女”事、綾坂 由紀あやさか ゆきを守ってもらう事である。


「も、もうちょっとって…ど、どれくら―――「えぇい! わしの騎士鎧ナイトギアを出せ! これでは埒が明かん!」


次々と押し寄せる駆動兵器を蹴散らす佐藤、しかし…あいての数は尋常ではなくこのままでは消耗戦になる一方。

それだけではなく、国王の椅子の周りを囲うように現れたバリアのようなものに阻まれて佐藤も攻めあぐねていた。


「くそ…あのバリアが厄介だな。 僕の全力だったらいけるだろうけど…」

「ご、ごめんね…わ、私がいるから…」

「いやいや! あいちゃんのせいじゃないよ、僕がもう少しうまく力を扱えれば…それにしても…本当に策があるんだろうね? 進藤くん? なんか国王が魔法陣みたいな物を展開して明らかに何かを呼び寄せてるけど!?」

「へ? あぁ、もちろん! 大船に乗ったつもりで待っててくれ! 船だけに! なんつって! ははは!」

「「「………」」」

「なんだよ…」


信用ならない、と言わんばかりの白い目を俺に向けて来た3人…そんなことは無視しして俺は座禅をつづけるとしよう。


そして――――


気付けば俺達の目の前には全長18mはあろう巨大な黄金のロボットが現れた。

ズシン…ズシン!


『ははははは! 我が騎士鎧ナイトギアゴルドナイトの力を受けるがいいわぁあ!』


全長以上にある巨大な大剣を振り回す黄金のロボ――しかし、それを軽々受け止める普通の人間の佐藤。

がきんっ!!


「ぐぉぉぉ…これはそんなに持たないかも! 進藤くん!」

「ゆう…くん!!!」

「ちょっと! 真央! あんた大丈夫な感じ!? なんかしんないけど、はやくしないとやばいって!」


ピピッ! 

『おはようございます――艦長。 宇宙戦闘用基地母艦ガーンデーヴァ、機動完了。 

次元跳躍―――3,2,1 ―――到着。 指示をどうぞ』

「ふふふ…遂に…遂に使うときが来てしまったか。 俺のスローライフを邪魔するクソボケに鉄槌をくだしてやるわぁぁ!!!」

『何を血迷ったかと思えば…囲まれた状態で偉そうに! 貴様らはもう終わりだ! 今ここには数千機の機士鎧デミナイトギアが向かってきておる!』

「す、数千は危険じゃない!? 進藤くん?」


ふふふ、はははは! なーにが数千じゃ!! ぼけぇ!! こっちだってなぁ、して楽しい地球生活を送ってたんだ。 それがぶっ壊れた今! 

俺のフラストレーションを全てぶつけてるわぁぁぁ! だはははは!!


「数千? ふふふ、ふははははは!! 万! いや、億はつれこいぼけがぁ!! 宇宙戦闘用基地母艦ガーンデーヴァ! 全砲門開けぇ! 目標、 機士鎧デミナイトギア。 1機も撃ち漏らすな? 民間人への誤射も禁止とする―――てぇーーー!!!」

『ははは! なんだと? 宇宙戦闘用基地母艦ガーンデーヴァ? 血迷ったかぁ! 貴様ぁ!』


シ~~~~ン…沈黙の時が流れる


「ね、ねぇ? 進藤くん? 宇宙戦闘用基地母艦ガーンデーヴァ? 何を言って…」

「…なにも…おこらない…」

「いやいやいや、真央! なにいっちゃってる感じ!? も、もしかして異世界に来て頭が…」


次の瞬間————


「お、おいおいおいおい! 嘘だろ嘘だろ! 進藤!?」

「…!? ゆうくん?」

「あいちゃん! 全力でマナバリアを展開だ! はやく! いますぐに!!」

「———へ!? う、うん!!」

「へ? どうし―――」


ドガガガガガガ!!!

バゴーン!!!

チュドーン! 


『うわぁあぁぁ! 上空から! 上空から何かが――』

『うわぁぁぁぁ! ぐああぁぁぁ!』

『た、助けてくれぇぇ!! ぐあぁぁぁ!』

『———は?』


辺り一面に銃弾の雨あられが降り注ぎ、おそらく城の一室であったこの場所も綺麗に見晴らしがよくなった。

そして―――あたり一面にはは焦げ臭いにおいが漂い…城壁と思われるばしょもボロボロに崩れていた。

さらに、遠くを見つめてみると数千…の機士鎧デミナイトギアは街にたどり着く前に瓦礫と化していた。



『鎮圧完了。 次弾装填準備―――スキャン開始———死者は0名。 生体反応を確認―――クリア』


そして―――


ズドン!!!


「「「!?!?」」」


目の前に現れたのは巨大な円形の物体。


ピピピピ!

『認証完了。 ポッド展開―――EX01 スタンダードフレーム起動』


ガチャガチャガチャ…


『ば、馬鹿な!? 異世界人が!? 騎士鎧ナイトギアを?』

「な、なんでもありじゃないか…これは…」

「き、きれい……」


姿を現したのは近未来的な姿をした全長18m程の起動兵器…その名も”エグゼクロス”、俺の相棒であった存在だ。


『背部コックピットハッチを緊急解放。 搭乗――どうぞ』

「さて…お仕置きの時間だ。」

『!? そ、そうはさせるかぁぁ!』


国王は金色の機体の大剣でスタンダードフレームをたたき割ろうとした…しかし。


ガチャン!


『な!? なにぃぃ!? ま、まだ搭乗していない筈だろう!?』


見事な白羽取りを披露したスタンダードフレームはすかさず蹴りを入れる。


『ぐぁ! ばかな!?』

「甘いな…こっちは超自立型高性能AIを搭載してるんだ。 そんなポンコツ起動兵器にどうこうできるわけがないだろう、なぁ? スタンダードフレーム!」


グッ! と背後の俺にむかって親指を立てたスタンダードフレームは満足げな表情でこちらを振り返る。


「うわ…こっち見た…」

「す、すごい…に、人間みたい…」

「ど、どうなってるし!?」

「さぁ…いくぞ。 スタンダードフレーム! ビームブレード展開!! くらぇぇぇぇ!」


ギュイン!


『な、なんだそれは! 知らない…わしは知らないぞぉぉ!』


決着は一瞬の出来事だった、相手の大剣と俺のビームブレード。

鍔迫り合いが起こる筈もなく…綺麗に真っ二つに割れたそれは空しくも、黄金の機体をいとも簡単に半分に切断した。


「「「———へ????」」」


俺も同じ感想だった。

あまりに一瞬の決着に拍子抜けした俺はビームブレードを構えたまま静止していた。


『艦長。 我らが隊の兵装は相手の装甲を粉砕できるように―――艦長がカスタムしたではありませんか』

「そ、そうだった…」


正式名称は

――改良型ビーム粒子ブレード――

宇宙生命体殲滅用兵器の一つ。 電磁装甲を持つ化け物相手に艦長が考案した独自の性能を持つ兵装であり、ビーム粒子をノコギリのように高速循環させる事で相手の分厚い装甲をいとも簡単に粉砕する事ができるのだ!!

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