寄生虫転生~いつか二本足で歩く日を夢見て~
海人
第1話
プロローグ
俺の名前は五十嵐彰。
三十八歳。無職、ニー……おっと、自宅警備員兼、哲学家だ。
二十四時間毎日休まず自宅で警備に勤しんでいるし、仕事場で毎日瞑想しているからそういっても差し支えないだろう。
で、そんな知的インテリアな俺が何で、家の外にいるかというと、親にバットで殴られた上、家から追い出されたのだ。
いくら、俺が収入を得ていないからって、愛する息子をバットで殴り、家から叩き出すのはやりすぎたと思う。
これから一体どう生活していけばいいのだろうか。と、思いながら公園のベンチに腰かけた。
「君、ちょっといいかな」
声のかかってきた方を見ると二十代後半くらいだろうか、男の警官が話しかけてきた。
これは……職質というやつではなかろうか。今までずっと家にひきこもっていたから、会ったことはないが。
「職業は、何かな?」
……職業、職業か。まあ、実際はともかく他人が見た俺は立派な住所不特定の無職だ。どう答えようか迷っていたとき……
ブーンブブブブーン
目に写ったのは、暴走したトラック、そして、ビール片手に運転している、運転手だった。
ま、まずい飲酒運転だ。
俺は二十年以上使ってこなかった肉体を奮い立たせ、逃げようとするが、
「おい、逃げるな」
と、男の警官が服の袖をつかんできた。
「馬鹿野郎、後ろが見えないのか」
「へ?」
変な声をあげる警官の事を横目に見ながら俺の意識は途絶えたのだった
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